騙されやすい人の特徴とは?
振り込め詐欺、悪質商法、情報商材、世の中上手い話に乗せられて騙されてしまう人が後を絶ちません。
詐欺のニュースなんかを観ていると「どうしてこんなのにひっかかるんだろう?」と思うことが多くありませんか?
詐欺師は騙されやすい人を狙って罠を仕掛けてきます。
詐欺に引っかかるのは何も判断能力の衰えた高齢者だけではありません。
騙される人は何度も騙される。では騙される人の特徴とはなんでしょうか。
それは「自分だけは大丈夫」とタカをくくっている人です。なにがしかの根拠がしっかりあって自信を持っているのであればまだいいですが、実際には根拠のない自信を持っている人が多いのです。
人には自分の能力を過大評価しがちな 「自身過剰バイアス」 という認知機能が備わっています。このバイアスこそが私たちの判断を歪ませてしまうのです。
人は自分を「平均以上」と思いたがる
スウェーデンで車の運転をする人を対象にしたある調査が行われました。
「あなたの運転能力はどれくらいあると思いますか?」という質問をしたところ90%の人が「自分の運転能力は平均以上だ」と答えたとのことです。
90%の人が平均以上の能力を備えているなんて実際にあるわけがありません。人は自分の能力に対して、過度に楽観視する傾向があるのです。
株やFXに手を出して損失を出す人は多くいるわけですが、こうした人たちも「たくさんある情報を集めて、自分は正しい判断で投資ができるはずだ」と思い込んで投資を始めていることがほとんどです。
株やFX,金融商品などはほんの一握りのプロのトレーダーが、プログラムを組んで行うシステムトレードで儲けていることがほとんどです。
素人が投資に手を出しても資産が目減りする結果に終わるのがオチです。
これも「自信過剰バイアス」が悪い方向に働いている例と言えるでしょう。
他にも「こうすればアフィリエイトで儲かります」などと煽っているのはこの自信過剰バイアスに付け込んだ商売なのではないかと思っています。
「なるほど、こうすればアフィリエイトで儲かるのか。それなら自分でも出来そうだな」と思ってサイト運営を始めても、結果が出ずにやめてしまう人がほとんどです。
価値のある情報を発信できるのはほんの一握り。実際にアフィリエイトで成果を出しているのは能力や知識に裏打ちされた本当の実力のある少数の人だけでしょう。
都合のいい結果だけを夢想する「反実仮想」
「確実に高配当が得られます」と煽って投資をさせる投資詐欺。
普通だったらそんなうまい話があれば自分たちで独占してしまうだろう、という想像力が働かない人たちが投資詐欺に騙されています。
詐欺師たちが使うのは豪華なパンフレット、「この投資のおかげで念願のマイホームが手に入りました!」という写真付きのサクラのコメントなどです。
騙されやすい人は「この投資を本当に信じていいのだろうか?」と考えるのではなく、「もっと早くにこの話を知っていれば今頃大金持ちだった」という自分に都合のいい妄想で頭をいっぱいにしてしまいます。
欲に目がくらんでいるといえばそれまでなのですが、「金持ちになった自分」を想像してしまうと批判的な考えが吹き飛んでしまいます。
「もし~したら」「もし○○していれば」と自分に都合よく膨らませてしまう妄想のことを「反実仮想」と言います。
あくまでも仮想なので現実とはまったくかけ離れているのですが、いったん反実仮想にはまってしまうと頭の中から自分の都合の悪い情報はシャットアウトしてしまいます。
人は自分の損失を認めたがらない「損失回避」という認知の仕組みもあります。一度手を出してしまうと、後で「どこかおかしいな?」と思うことがあっても認めると心の中で損失が確定してしまうので、認められない。
全財産を投資詐欺に突っ込んでしまう人は、思考回路が自分中心で客観的な分析ができていません。そういう人でも「自信過剰バイアス」が働いて「自分には人並み以上の判断力がある」と思い込んでいたりするものです。
騙されにくい人は「メタ認知能力」が高い
では詐欺に騙されにくい人はどんな人でしょうか?
それは「メタ認知能力」が高い人です。
脳機能学者の中野信子氏はメタ認知についてこう述べています。
「メタ認知」というのは簡単に言うと「自分を俯瞰で見る」ことだ。これは自分自身を客観視する脳の機能で、もし、この機能が備わっていれば、不都合な情報も適切に取り入れることができる。
中野 信子著 「悪の脳科学」
具体的に言うと、あなたがテレビを観ているとして、テレビに対して「面白いな~」とか反応しているのは認知です。
メタ認知は「私は今、テレビを観ている」と俯瞰的な視点で物事を認識すること。
このメタ認知は意識してもしていなくてもある程度働いています。このメタ認知能力は中学生くらいから発達して身に付いてくると言われています。
ADHDなどの発達障害の子供で、小学生くらいまでは多動でじっとしていられなかった子供が中学生くらいから徐々に落ち着いてくるのは、このメタ認知機能が働いて「じっとしていなければいけない時に、動き回っている自分」を意識できるようになってくるからです。
このメタ認知を意識的に使うと、例えば他人とトラブルになっている時に自分を俯瞰して「自分は今、相手にこう言われてこう振る舞っている」と冷静に自分の言動をコントロールすることができます。
そしてメタ認知能力が発達している人は、自分を客観視することが適切に出来ています。
「人間とはそもそも騙されやすいものだ」ということを理解するとそうそう簡単に詐欺にひっかかることはありません。
逆に高学歴でもメタ認知能力の弱い人は「自分だけはだまされない」という思い込みにはまってしまうことになります。
このようにメタ認知能力が高いか低いかで、都合のいい儲け話を持ち掛けられた時の応答がまったく違ってしまうのです。
人間はそもそも流されやすい生き物
メタ認知能力は訓練で磨くことのできる能力です。
しかし、人の判断は様々なバイアスがかかって歪んでしまうものだという前提を理解しておくことが大事です。
たとえば有名な芸能人が商品を紹介すれば「あの人も使っているのだから、きっとこれはいいものに違いない」と思い込む「ハロー効果」
自分の都合のいい情報だけを集めて判断を下そうとする「確証バイアス」
印象に残った出来事があれば、「よく起こること」「次もこうなるだろう」ととらえてしまう「利用可能性ヒューリティクス」
人間は物事を決定するときに脳への負担を減らそうと自然とバイアスを使って安易な決定をしがちなのです。
バイアスに基づいて判断することが必ずしも悪い結果につながるわけではないのですが、適度にメタ認知を用いてなるべく適切な判断をしていきたいですね。
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感想(0件)
「悪の脳科学」ではメタ認知を鍛える方法が紹介されていました。
「笑ウせぇるすまん」に描かれた人間の誘惑の手口を脳科学の視点から鮮やかに解説しています。藤子不二雄Ⓐ氏は天才だと改めて認識させられました。
最近はやりの情報商材ビジネス
最近は情報商材のやり方も露骨になってきました。
noteという媒体はSNSみたいに個人のアカウントを取得して、有料記事がだれでも配信できる仕組みになっていますが、それに目を付けた人たちが「稼ぐ方法を〇〇円で紹介します」という商売をやっています。
「月○○円稼いだ私が、稼げる方法を紹介します」と謳っているのを結構目にしますが、本当に稼げていたらちょっとやそっとでやり方を人に教えるわけないでしょう。その有料noteを買った人たち、実際に稼げていない場合がほとんどだと思いますよ。
で、もっと露骨にした新しいプラットフォームが最近誕生したみたいですが、情報商材がのさばる新たな土壌になっている模様です。
これ、ネズミ講みたいなシステムだと思ったのは私だけなんでしょうか?
発信元が稼げます!という記事を書き、買った人が拡散して別の人が購入すると発信元にさらに収益が入り転売した人もまた儲かるという、最初に買った人は売り抜けて収益も得られて得するんでしょうけど、後に買った人は損するだけなのが目に見えています。
こんな露骨なやり方だったら行き詰まるのは目に見えていると思うんですけど・・
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コメント
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