エコーチェンバーとSNS

以前にガン治療の話で、既存の医療を否定していかがわしい民間療法を患者に売り付けたり、医学的な治療を受けている人に対して「そんな治療はやめた方がいい」と自分の信じる民間療法を押し売りする人の話をしました。

Youtubeで探したらガンの話題は酷いものが多いですね…。根拠のある情報は再生回数が伸びずにデマばかり再生回数を稼いでいます。

「抗ガン剤は毒」とか「ガン治療で殺される」とか刺激的なタイトルが人の目をひくのでしょうか。ガンになってしまったから藁にもすがる思いで人が民間療法に頼っているのかもしれませんが、それだけでは説明がつかなさそうです。

思い込みを増幅する『エコーチェンバー現象』

昨年末、NHKの番組がTwitter、FacebookなどのSNSによるエコーチェンバー現象についての放送を行ったようです。

エコーチェンバーとは、閉鎖的な空間で情報のやり取りを繰り返すことで、極端な思想が増幅し空間に属する多くの人が極端な情報を何の疑いもなく共有してしまうことです。

人間は自分の頭だけで考えることはできません。周囲の人に影響され、たとえ間違った情報でも周りの皆が「これは正しい」と言えば間違った情報でも鵜のみにしてしまう可能性があります。

Twitterではフォローする人を自分で選びますが、自分が気になる情報をチェックしてどんどんフォローしていくといつの間にかタイムラインが偏った情報ばかりで埋め尽くされてしまうことがあります。

特に政治、社会の話題、陰謀論的な話題で刺激的なものは人を引き寄せるパワーを持っています。

また「○○をすれば稼げる」「月に○○円稼ぐ方法」という情報商材を宣伝するインフルエンサーの元には大量の信者が集まります。そうなったらインフルエンサーの思うつぼですね。

後は信者同士がインフルエンサーの言葉を鵜のみにしてコミュニティを形成。儲けるための話題をコミュニティ内で勝手に拡散します。いったんコミュニティに属してしまえば、日がな1日コミュニティの偏った情報を受け取り、どっぷり浸かってしまうわけです。

そうなると日頃から接する友人などに「それおかしいんじゃない?」と指摘されても耳には入りません。自分の知識を否定された分、そんなことはないと自分の正しさを保管する情報をコミュニティ内でかき集めようとします。どうやっても修正が効かないのです。

まれにコミュニティ内で「教祖の言っていることはおかしいのではないか?」「言われた通りにやってみたけど上手くいかなかった」等発言する人も出ます。そのような発言をしたらコミュニティの主要メンバーが即排除にかかります。周りのメンバーも異論を唱える人を積極的に攻撃します。自分の信念を否定されると不安になり、コミュニティを守ろうとします。

人は「自分の選択は間違っていなかった」という証明を常に求めて生きています。テレビをつければ日用品のCMが何度も繰り返されていませんか?あれは1度商品を購入した消費者に製品の良さを再アピールして「やっぱりこれを買ったのは間違いではなかった」と安心感を与えるためでもあるのです。

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原発事故でパニックを起こしたSNS

私が知るなかでエコーチェンバー現象が特に酷い形で生じたのが原発事故以降の放射能パニックです。

原発が事故を起こした恐怖から、放射能に関する大量のデマがSNS上に拡散されました。

Twitterでは拡散されたデマの検証が行われ、反論やデマを否定する書籍の出版などが行われましたが、どうやらFacebookのコミュニティなどの閉じた空間では未だに怪しげな情報を交換するコミュニティが存続しているようです。

ある女性はSNSに氾濫する放射能デマ情報に怯え、夫をおいて子供を連れて安全である東京から西日本に移住してしまいました。一家離散です。

その後、女性は自分が偏った情報に踊らされていたことを知り、考えを改めるのですが1度生活基盤を捨ててしまったら簡単に元には戻れません。

また今でも福島県は風評被害を受け続けています。福島県は原発事故の被害から復興するべく、稲を育てる時に放射性物質を稲が取り込まないようカリウムを田んぼに撒くようにしました。また出荷の際に米の全袋検査も行い、全ての出荷物に対して安全性の検査を行っています。

農家の努力の甲斐あって、福島のお米のほとんどは放射性物質が不検出です。まれに検出されても基準値超えはありません。

しかし、デマコミュニティに属する人からの風評加害は後を絶たず未だに偏見が残されたままになっています。

ある政党の候補者などは「食べて応援は自殺行為!」とのキャッチコピーを謳った講演会に参加していました。これが加害でなくてなんなのでしょうか?

「あと1年で東京は壊滅する!」という講演を行っていた者もいました。その後東京が壊滅したことはもちろんありません。平穏を保っています。

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今も福島の子供たちに甲状腺を調べる検査が行われています。多数のガンが見付かったという話になっていますが、甲状腺ガンはもともとありふれたガンです。甲状腺ガンが人の命に影響を与えるケースはまれで、他の地域でも調べれば同じ程度のガンが見つかるはずです。影響のないガンを見つける検査なんてやってはいけないので、他の地域での甲状腺検査など論外ですが。

まとめ

SNSは有益な面もありますが、閉鎖的なコミュニティに属すると極端な思想にはまりやすいという致命的な欠点があります。

それを踏まえた上でどうSNSと付き合っていくかを考えていかなければなりません。

また1度流されたデマはその後も一人歩きし、社会に悪影響を与え続けます。閉鎖的なコミュニティの中では既に否定されたデマの話題が再登場し、コミュニティがどんどん先鋭化していきます。

人は周囲に流されやすい生き物であると肝に銘じておかなければ簡単に洗脳にはまってしまいます。

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