以前、介護職の専門性をテーマに記事を書きましたが、今回はその続きみたいなものです。
なぜ専門性について記事を何度も書くかというと、介護職に専門性はあるのか論をTwitterでよく見かけてしまうからです(^_^;)
介護のことをよく知らない人が介護職の専門性を理解できないのはわかるのですが、介護福祉士の資格を持っている人が「介護職に専門性なんてあるのか?」と疑問を呈していることがあるのです。
介護福祉士は3年以上の実務経験がないと試験を受けれません。それなりに現場経験があるはずなのですがなぜ自分の仕事の専門性がわからないのでしょうか。
医師・看護師と介護職の専門性
どうやら介護職に専門性がないと主張する介護職は、医師や看護師には専門性があって介護職にはないと、医療職との比較で専門性を考えているようです。
確かに病気の診断は医師にしかできませんし、医療的な処置は医師・看護師にしかできません。
それでも、介護職に医学的な知識が必要ないわけではありません。訪問介護やデイサービス、介護施設などの最前線で利用者さんと接するのは介護職です。
ある方の書いたブログで、利用者さんが施設で嘔吐していた時に経験の浅い介護職はそのまま近づいた、だが経験のある介護職はノロの可能性を疑い防備した上で利用者さんに近寄った。
結果、無防備で近づいた介護職もノロに感染してしまったそうです。知識は自分を守るためにも必要ですね。
介護度が重くなり、寝返りすることも難しくなると床ずれという症状を起こすことがあります。床ずれを専門用語で言うと褥瘡です。
利用者さんのお尻の色が悪くなり、浅い潰瘍のようなものが出来ていると報告を受けたことがありました。
その方はベッドから起き上がることも出来ない状態で、診察は自宅のベッド上で往診医からの診察を受けていました。
訪問介護から報告を受けた私は、その状況を往診医に報告。診察時に患部の様子を見てもらうことにしました。
診察の結果、褥瘡が進んだ状態と診断され、塗り薬が処方されました。塗り薬は訪問看護師が定期的に塗りに来ることになりました。
ここまでの診断・処置は医療職の領分です。ですが、医師や看護師が出てくれば話は解決というわけでもありません。
いくら薬塗っても、寝たきりで在宅療養をしていてはすぐに褥瘡が進んでしまいます。入院も医師から提案がありましたが、本人はこれを拒否。そうなると、介護サービスを使って対応していかなければなりません。
ヘルパーを手配してオムツ交換の回数を増やし、患部が過度に濡れた状態を防ぎました。
絆創膏をつけたまま入浴すると、絆創膏をはがした時に皮膚が白くなっている時はありませんか?これは過度な水分が皮膚に触れ続けた時におきるふやけという状態です。専門的には『浸軟』と言います。この状態の皮膚に摩擦が加わると、簡単に褥瘡が出来てしまいます。
オムツ交換で濡れた状態が続くことをできる限り減らし、ベッドのマットには「エアマット」という自動で動く物を導入しました。エアマットは寝返りが出来ない人にも褥瘡ができにくくする効果があります。
福祉用具専門相談員の方にこの人に合うマットを選んでもらいました。この人も介護職の一種です。
褥瘡の対応1つでも医師、看護師さんが出てくれば解決というわけにはいかないのです。
診断や処置はできなくても観察をしたり、報告をしたり、介護職もチームの一因として対応に参加します。
褥瘡は間違った対応をすると悪化してしまうため、看護師ほどではなくても介護職にも知識は求められます。実際に介護福祉士やケアマネジャーの試験には褥瘡に関する問題が出題されることがあります。
報告や連絡で医療職との橋渡しを行う
これは1つの例ですね。
相手をしっかり観察して異常を発見。情報を正しく医療職に伝達。
ポイントは具体的な診断を医療職に任せ、観察と情報伝達という介護職が担うべき役割をきっちり遂行しているところでしょうか。
これについて「発赤(ほっせき)」という専門用語なんて介護職は使わなくていい、と言ってきた看護師がいたようですが・・
発赤で通じるなら発赤と言って別に問題ないのではないでしょうか。ご家族にその言葉を使って説明すると伝わらないこともあるでしょうが、相手が医療職ならちゃんと通じるはずですし。
いずれにしても皮膚が赤くなっているという状況から伝達するべき情報をまとめ、正しく伝達するという行為を行うため専門知識と経験が必要です。
介護職が専門性を発揮するケースはいくらでもあるにも関わらず、当事者から「介護職に専門性はない」との声が出てくるのはおかしなことだと思います。日頃からどんな仕事をしてるのでしょうか?凄く疑問に感じました。
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