介護職と看取り

介護

これからは『多死社会』だと言われています。

産まれてくる子供の数より、亡くなる方の方が多い。現在の医療機関の数では対応できず、ベッドも足りないです。

ですので病院以外の場所、つまり介護施設やご自宅で亡くなる方は今後増えていくでしょう。

介護職に従事されている方は今後は自宅や施設での看取りに接する機会が増えるかもしれません。今回は私の経験も交えて看取りについて考えたいと思います。

看取りの主体はご本人

Twitterで、介護職が主体的に看取りを行えば介護職に対する「ありがとう」が増え、介護職の社会的地位が向上すると述べていた方がいるそうです。

私は介護職が主体的になって看取りに関わるという部分に強い違和感を感じます。

人生の最期を迎えるにあたって、ご本人が自分の最期をどう過ごしたいか、ご家族の希望はどうか、尊重するべきはそういった利用者サイドのご意向です。主体になるのはご本人、ご家族ではないでしょうか。

私が今まで接した方の中には「私は最期は病院で死にたい。家族に迷惑をかけたくないし、お医者さんや看護師さんがいてくれる病院なら安心できるから」とおっしゃっていた方がいます。

「死ぬんやったら自宅で死にたい」と言い、実際に最期を自宅で迎えられた方もいました。

ご本人も認知症や病気で自分の意思をうまく示せない時もあるでしょう。ご家族も決めきれなかったり家族間で意見がまとまらなかったりするかもしれません。

ですが、利用される側のご希望に可能な限り沿えるように接するのが原則ではないでしょうか。言ってみれば介護職は補佐役であり、医療職も同様ではないかと思います。

ご本人の死期が近づいていると事前にわかっている場合、病院や施設ではカンファレンスという会議が行われます。在宅での介護サービスを利用されている場合には訪問看護師を交えたサービス担当者会議が行われる場合があります。経験不足の私が参加した限りでは、そこに参加した医療職、介護職が主体となっていると感じたケースは1件もありませんでした。これが介護施設に全てお任せしたいと考えるご家族からの依頼を積極的に受け入れるような施設なら、また話は違うのかもしれませんが。

医師、看護師からのフォローが重要

在宅での看取りを考える場合、往診や訪問看護など医療的なフォローはほぼ不可欠です。

ガン末期など、予後が悪いことがあらかじめわかっている場合で介護保険の認定を受けている場合は早めの訪問看護を検討することをおすすめします。

ガン末期の場合、容態が悪くなり始めたら急激に状態が悪化していきます。そうなってから急に訪問看護を利用しようとするより早い方がいいです。

ご本人やご家族との間にしっかりとした信頼関係が築けているかどうかがケアの質に影響します。

長くご本人と関わることでサービスを提供する側もご本人の性格、ご意向などをしっかりと把握することができます。

容態が悪い時に信頼関係をしっかりと築いている医療職からサービスを受けている方が安心感が強いです。早めに医療機関やケアマネと相談しておくとアドバイスしてもらえます。

訪問看護を提供している方から「もっと早く(ケアマネに)呼んで欲しかった、と思うケースが多い」という愚痴を聞いたことがあります。その方はより良いケアを提供したいという思いからおっしゃったのだと思います。自戒を込めて紹介させて頂きます。

終末期は通院することも困難なことが多いでしょう。往診などの相談に応じてくれる医療機関は頼りになります。

在宅で亡くなられた場合、亡くなる24時間以内に医師の診察を受けていれば医師からの死亡確認、死亡診断書を受け取れます。これらの条件をクリアできないと自宅で平穏に亡くなられた場合でも不審死として処理される場合があります。そうなったら検死などをされる場合がありますのでご遺族の負担が増えてしまいます。そうならないためにも医療機関のフォローを受けておきましょう。

看取り対応で介護職の地位向上を、という意見について

看取りを介護職が主体的に関わっていくことで介護職の地位向上につながる、という意見を述べている方がおられることを述べました。

これについて実際に家族の死を経験された介護職の方が「看取りを介護職のイメージアップに使うことは不愉快である」という旨のご意見をおっしゃっていました。

介護職の地位向上、待遇の改善等は介護に携わる当事者として考えていかなければなりません。ですが、看取りを利用してイメージアップを図るという発想はこのような嫌悪感を覚える人がいても当然です。

在宅サービスで看取りのケースに携わる介護職の負担感は強く、今後増えるであろう在宅での看取りにどう対応していくかは議論が必要。介護職の地位向上を看取りに絡めて論じる必要はないであろう、とだけここでは述べておきます。

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コメント

  1. […] 先日、介護職と看取りについての記事https://yashirok.xsrv.jp/archives/260を書きましたが、看取りについての話題がまだTwitterで続いています。 […]

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