病院が2つあったら無駄ですか?

医療

先日、元大阪市長の橋下氏がテレビに出ていました。

大阪市を廃止していくつかの特別区に分割する大阪都構想について解説していました。過去にやるかどうかは住民投票で否決されたのですが、また住民投票やるんですね。

全部は見ていないものの、気になったのは病院についての発言。

大阪府と大阪市に府立、市立の病院がありました。それが今では統合されて住吉母子医療センターという1つの病院に統合されました。

橋下氏は「大阪府と大阪市にそれぞれ病院があったから府の方にまとめようとした。経営を1つにしようとしただけ。それがテレビで『市立病院が無くなる、無くなる』と言われた。」という趣旨のことを述べていました。

橋下氏は病院はなくならない、市の仕事を府に渡すだけだと説明していて説明を聞いていたタレントさんも納得していたよう。2つの病院を1つにして、効率良くサービスを受けられるなら住民にデメリットはないように見えますが、本当にそうでしょうか?

病院の統合で小児科のベッドは減っています

統合前、府立の急性期総合医療センターと市立の住吉市民病院で小児科のベッド数は合計111床ありました。

統合された府市共同の住吉母子医療センターには79床のベッド数しかありません。32床減少していますね。

ベッド数が減っていなかったら「市の仕事を府に渡すだけ」で済むかもしれませんが、実際には入院受け入れ機能が低下しています。

なので、子供が急に熱を出して入院の受け入れを病院にお願いしたら「ベッドが足りません」とお断りされる状態なんです。

府と市に2つの公立病院があることが『二重だ』と言われてきました。でも府立の病院も市立の病院も両方使われてきたのなら、二重でもそれは必要だったということではないんですかね?

様々な役割を担っていた住吉市民病院

市立の住吉市民病院は老朽化していたのでもともと建て替える予定でした。それが「二重ではないか」と物言いをつけられ、府立の病院に統合されることになりました。

しかし、地域の周産期医療の要として多くの役割を担っていたのがこの住吉市民病院だったんですよね。

具体的には福祉的ニーズの高いケースの受け入れなどです。

300万人近い人口の大阪市では、一般的な病院では対応が困難な出産が相当数あります。

対応が難しいケースとしてよくあるのが、未受診妊婦。

出産の死亡率は医療の発達によって減りましたが、出産前にちゃんと検診を受けていない妊婦さんはリスクが高いケースです。

受診歴がない妊婦さんがいきなり産気付いたからと病院に行っても医療機関としては大変困ります。母体のや胎児の状態がわからないですし、何らかの感染症はないか、検査を受けていないので把握しきれません。

未受診妊婦のような対応の難しいケースを住吉市民病院は積極的に受け入れてきました。地域の保健福祉センターから打診を受け、可能な限りの対応を行っていたのです。

重症の心身障害児の短期入所も受け入れていました。

周産期医療、小児科で大きな役割を担っていた頼りになる病院が、他に府立の病院もあるからと無駄だと言われる理由がよくわかりません。

ちなみに住吉市民病院のあった地域から住吉母子医療センターまで2km程度ですが、この2kmは結構大きいです。間に2本の鉄道路線があるので踏切で混雑しやすいですから。

二重だから無駄、はちょっと短絡

他にも府立図書館があるのに市立図書館があるのは無駄とか、府立体育館があるのに市立体育館もあるのは無駄とかいろいろ言われますが、2つあるのが無駄と決めつけるのは短絡的だと思いますよ。

府立の図書館は広域的な図書館ネットワークの要で蔵書管理をしていて、市立の図書館も各区におかれた図書館のネットワークを束ねています。

体育館もプロスポーツの興行とアマチュア競技の開催などで役割分担しています。それぞれ稼働率も70%くらいありますから、ちゃんと使われている施設は無駄とは言えない。

これは二重行政が議論になった早期の段階で指摘されていたのですけど、『二重だから無駄』はわかりやすいからかけっこう勘違いしている人が多いのではないでしょうか?

私は必要な施設は二重でも三重でも整備しないといけないと思いますし、特に病院のような施設は重要だと思います。

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