院内感染を起こした病院は責められるべき?

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雪乃
雪乃

いつもありがとうございます。コロナの患者を受け入れて、院内感染が起きてしまった病院に勤務している方の手記がテレビで取り上げられていました。それについて院内感染の責任があると述べていたコメンテーターがいましたが、その件について書かせて頂きたいと思います。

院内感染は無くせるものなのか

室井佑月さんというコメンテーターが炎上しています。今回はしっかり名前を書いていこうと思います。

東京の病院で、3月にコロナの院内感染が発生したところがありました。その病院ではコロナの感染者を初期から受け入れていましたが、医師までもが感染してしまい、医師は人工心肺ECMOを使用しなければならないほど重篤な状態に陥ってしまったそうです。

院内感染は職員83名、患者109名にも及び、無菌室にまで感染が広がってしまったそうです。感染した職員は現場を離れざるを得ません。防護服を着る時に涙を流していた職員もいたとのことです。看護師協会からも看護師が派遣され、対応にあたったそうです。

たとえ防護服を着用していても、感染は完全に防ぎきれるものではありません。病院は病気の方が来られる場所ですから、コロナでなくても院内感染が起きないよう、気をつけています

医療の現場で働く人にも家庭があります。自分だって感染したくありません。感染したくて感染する人など、当然いるはずもありません。

無菌室にまで感染が広がっていることが判明した時、医師はショックで座り込んでしまったそうです。その病院は大学病院からも患者を受け入れていたとのことですし、血液内科などの診療科もありました。高度な医療を提供する病院であったと思います。患者の中から亡くなられた方がいたのは、大変痛ましいことですし、心よりご冥福をお祈り申し上げます。また、患者さんの死に接した医療従事者の方の心中も、察するにあまりあります

では室井佑月さんはなんと発言して炎上してしまったのでしょうか。

当該の番組を直接見ていなかったのですが、Twitterの情報からいろいろと拾い上げてみました。

室井佑月さんは、病院での院内感染の話と、医師らの手記の内容から

「感染した医師や看護師も被害者なので個人を責めてはいけないが」と前置きした上で、

「経営者には責任がある。もっと気をつけなければいけなかった。美談にするのはすり替えだと思う」などと発言しました。

さすがにこの発言には司会や他のコメンテーター、専門家も困惑でしょう。

気をつけなければいけないことは、医療従事者も当然わかっているはずです。なのに院内感染が起きてしまうのだから深刻に受け止めているわけです。泣きながら防護服を着る職員に、これ以上何を求めるのでしょうか。

もっとも私だって、その病院で働いたわけでもありません。なんらかの落ち度はあったのかもしれません。しかし「気をつければ院内感染は防げたはずだ」的なことは、さすがに言えません。

室井佑月さんは「反省しないといけない」と言います。ですが、患者さんが亡くなってしまって悔しい思いをしているのは現場の人たちもしているのではないでしょうか。無力感に苛まれている職員だっているかもしれない

室井佑月さんの言葉を聞いていると、病院が反省していないと思っているように見えますが、反省はしているのではないでしょうか。

そして、その後番組では他の出演者から意見が続きます。

医師からはその病院が地域から支えられ、地域からの理解があること、地域医療を支えているという現実があるという説明がありました。

他にも、確かな情報が少なかった中で、いったいどれほどのことができたのかという意見もありました。それはそうでしょう。

確かに院内感染が発生したのは良いこととは言えません。ですが、他の医療機関ではこれだけコロナが脅威になっていれば、外来で発熱している方を診察するのも難しいという医療機関だってあるのです。コロナの疑いのある方を受け入れていた病院は、それだけで医療への貢献度がとても大きかったのです。

その病院に対して批判をする余地がないとまでは言えませんが、公共の電波でここまで文句を垂れ流す人の神経は、正直に言って理解に苦しみます。

またこの批判はあくまでも病院の経営者に向けての非難だと、本人から弁明、賛同者からの擁護があるようですが、経営者に限って非難しているのだとしても、不当ではないかと思います。

ましてや経営者がいくら対策を練ろうが、その対策を実行するのは最前線の職員なのですから、室井佑月さんの批判は病院の職員の努力をも愚弄するものになっていると言わざるを得ないでしょう。

室井氏や彼女を擁護する人は、経営者が対策をしっかり講じれば、院内感染は完全に防げるものだと思っているのでしょう。そんな現実離れした想定、通用しませんから。

病院から感染を広げているという事実誤認

室井佑月さんはその番組にはリモート出演だったようですが、心なしか他の出演者の室井氏を見る目は冷たかったように見えました。

室井氏はその反応が不満だったのかもしれません。そこで何を思ったか

「病因から感染を広げるのはやめて欲しい」

と発言しました。これには司会者もさらに困惑といった感じで「広げたいと思ったりはしないと思いますよ」と返しています。

司会者の発言の通りでしょう。室井氏もここまで言ったからには「あくまでも経営者を批判しているのだ」とか「美談にすり替えるのがおかしいと思っただけだ」という弁明は通らないことを理解された方が、よろしいでしょう。

病因から感染を広げることなんて、ありません。

発生するコロナの患者には、誰かが対応しなければならない。

設備の伴わない病院や、平時から感染症外来などを設けていない病院では対応困難です。防護服の扱いだって、どれだけ熟練を要することなのか。感染が疑われる方の検査をした後、室内の消毒をどれほど徹底しなければならないか。診察した患者がコロナだと判明した後には、風評被害だって予想されるわけです。

医療機関がどれほどのリスクを抱えて日々の医療を提供しているか、おそらく室井氏には理解ができないのではないでしょうか。

室井氏のような主張をする人が多いのであれば、今後コロナの対応を医療機関で行うことは困難であるでしょう。

職員だって感染する危険がある、感染症対策を行っていても院内感染が起きる危険がある、それだけのリスクがあるのに診療を行っていて、院内感染が発生したら「病院から感染を広げた」などと言われるのですから。

これでは職員のモチベーションだって維持できるかどうかは怪しい。

室井氏の発言を擁護している人たちも、よく考えた方がいいと思います。

室井氏は番組で病院が擁護されることに「納得がいかない」という旨のことを述べていました。

しかしこれは室井氏に理解する能力がないか、理解するつもりがないか、どちらか或いは両方です。

今回の室井氏の発言は、最前線で感染症と戦い奮闘する医療従事者を後から撃ったに等しいものであると思っています。

室井氏は仮にもテレビの仕事を長いことやっているし、コラムだって書いているのでしょう。もう少し自分の発言に責任を持って欲しいものです。


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