看取りがテーマの映画を観て思ったこと書いてみました

介護

皆さんこんにちは、雪乃です。

久しぶりに映画を観ました。内容は、看取りをテーマにした作品です。

世の中には、死期がすぐそばに訪れている方がいます。末期ガン、慢性疾患、神経難病、理由は様々でしょう。私は仕事で高齢者の看取りを支援していますので、高齢で、認知症で、家族も高齢で、という様々な背景を持っている方にお会いします。

その作品にも様々な方の死が描写されていましたが

率直に言って、違和感を強く覚えました

映画のタイトルを明言した上で、内容のネタバレを含む批評を書いてしまうのもどうかと思いますので、具体的な作品名をあげずに、気になる点を書いていきます。

違和感1:謎の民間資格の団体

作品に登場した死を迎えようとしているキャラクターは

介護保険が利用できる方であったように感じます

高齢者が多く、申請をすれば介護保険を利用して自宅で様々なサービスを受けれる方であったように思います。

65歳以上で、疾病や加齢による生活の支障が生じていれば、介護保険を利用できます。

ならば、私の感覚であればケアマネジャーが登場するのが自然な流れであると思います。そして福祉用具貸与や訪問介護、訪問看護など、様々なサービスを利用することができます。(疾病により急激に状態が悪化している時などは、医師の指示により医療保険による訪問看護の利用も可能)

ですが、映画にはそのような専門職は登場しません。さすがに病院の医師や看護師などは登場するものの、在宅生活をサポートする公的介護保険の専門職は登場しませんでした…

代わりに映画の主役となっていたのは、看取りしだか看取りすとだか、よくわからない看取りを専門に支援する民間資格の持ち主達でした。

民間資格の持ち主達だって、彼らなりに勉強しているのでしょう。現実にそれを生業にしている人達が存在するようです。

ですが、心の狭い私は、すでに存在する在宅介護の専門職を登場させないのは如何なものかと思いました

違和感2:不適切な死の描写

作中に在宅でひとりでひっそりと亡くなった高齢者のエピソードが登場します。

独居でサービスの介入を拒み、孤独に亡くなる人は現実に存在します。そういう事例があることは、否定はしません。

そういうケースを描写するのは構いません。ですが、作中でその方は看取り支援の人たちを追い返し、最終的に孤独死をされます。

そして看取り支援の人が関わっていたということで、警察から支援者に電話が入り、その方の

ちた遺体が画面に映されるのでした

それは一瞬でしたが、ショッキングな映像です。

民間資格の支援者は、その死に心を痛めているように描写されていますが

性格の悪い私は、看取り支援者(民間資格)に依頼すると、悲惨な状態になってしまうというメッセージを視聴者に送っているのではないか

と疑ってしまいました。

その方の死について考えると、セルフネグレクトであったのかもしれません。ですが、弱った姿を人に見られることなく、最期を独りで迎えたいと思う人だっているかもしれません。ご本人の想いがなんであったか、想像するより他ありませんが、フィクションの物語であったとしても、創作の遺体をそのように画面に映されたことが適切だったのでしょうか?

私は遺体を脅しの道具に使ったように見えて気分が良くなかったです。

違和感3:ガン末期での看取り

映画の最後の看取りは、高齢の方ではありません。

ガンが転移し余命が短いとわかった女性が亡くなるのですが、夫や子供たちは、看取り支援者の助けを得て、自宅で亡くなる瞬間に立ち会うのでした。

映画での支援者達は、最期を迎える女性と家族との別れの瞬間をサポートし、女性は見守られて旅たちます。不適切な言動や支援は、私が見る限りありませんでした。

しかし、神経質な私は、一応言っておきたいと思います。

まず、65歳未満であっても、40歳以上で末期のガンの場合、特定疾病であり、介護保険の申請や利用をすることができます。また、末期ガンは医療保険による訪問看護の利用が可能であるため、介護保険の認定が間に合わなかったとしても、取りうる方法があるのです。

女性は入院していましたが、子供の誕生日を祝うため在宅復帰が検討されます。

この時点でケアマネの介入と介護保険申請があっても良かったと思います

介護保険があれば、ヘルパーによる水分摂取や排泄ケアの支援、福祉用具を利用してできる範囲の生活行為を自分で行うことも、助けられたかもしれません。訪問看護は医師との転落なども行ってくれます。

ガン末期の最期は、状態が1日単位で変わっていきます。痛み止めの服用も、看護師が訪問に入っていれば医師と連携を早く取ることができます。

尺の都合かわかりませんが、映画ではそのような描写が見られず、登場人物の手厚い関わりの中で女性は息を引き取りました。

ストーリ自体は悪くなかったにせよ、映画では実際の現場とは離れた手順が行われていました。これは専門職でなければ気づかないことなのかもしれませんが…

ですが気づいた者として、敢えて違和感のある描写があったことは、念のため指摘しておきたいと思います

死は、いつ誰に訪れるかわからないものですし、多くの方が少しでも後悔なくその時を迎えることができるよう祈念します。

コメント

タイトルとURLをコピーしました