【酷い物忘れ】認定調査を受ける時、認定調査票の書き方のポイント

介護
雪乃
雪乃

いつもありがとうございます。主に認定調査票を書くときの視点から記事を投稿しましたが、家族として、担当者として認定調査に立ち会う方に対しても何か書いた方がいいかと思い、定義のわかりにくい認知症関連の調査項目について書いてみます。お役に立てれば幸いです。

認定調査を受ける前に準備しておいた方がいいこと

今さらですが、介護保険の認定調査について解説しておきましょう。

まず介護保険を利用しようと思ったら、自治体に申請して介護認定を受けることから始めなければいけません。この申請自体は、ケアマネの事務所や地域包括支援センターに相談すれば、代行してもらうことができます。

加齢や病気で生活に困りごとが出てきたら、まずはお近くの地域包括支援センターなどに相談されると良いかと思います。申請すると、自治体は認定調査の手配をしてくれます。ここまでは実際に介護の仕事をしている方ならおわかりのことでしょう。

始めて認定調査を受ける方、更新の認定調査を受ける方は、家族や担当ケアマネに調査の立ち会いをしてもらうことが多いかと思います。

家族や担当者が調査に立ち会う場合、調査員に困りごとがしっかり伝わるよう、しっかりサポートする必要があります。必ずしもご本人がしっかりと困りごとを伝えられるとは限りませんから。

特に、認定調査では認知症関連の質問もあります。これはご本人になかなか聞けることではありませんから、立ち会いの方がしっかりと調査員に情報を伝える必要性が出てきます。

立ち会いと言っても、認知症に関する項目では、ご本人のプライドを傷付けないよう、ご本人のいない場で立ち会いの方に質問することがほとんどです。

調査に立ち会いをされる方は、伝え漏れのないよう、事前に困りごとについてメモしておくなどの準備をされた方が無難です。

その際、伝え方にポイントがありますので、今回は認知症の関連項目についての伝え方を次項から書いていきます。

【伝え方】酷い物忘れの項目の定義

酷い物忘れの有無は、認知症の関連項目の1つです。ご家族の立場であれば、認知症が進んで物忘れが増えて来ると心配するのは当然のことです。

しかし、認定調査の中では、単純に物忘れをしているかどうかだけが重視されるわけではありません。認定調査は、本人の状態から、どれだけ介護の手間がかかっているかどうかを判断する必要があるからです。

認知症の関連項目(正確には『精神・行動障害』の項目)には被害妄想があるかどうか、同じ話を何度もするかどうかなどの項目が細かく設定されています。

酷い物忘れの有無はその1つです。

この項目は調査員から「普段から物忘れはありますか?」などと質問されることになるかと思います。

しかし、この項目は、単純な物忘れで判定されるわけではありません。物忘れがあっても、何か対応が必要な程の物忘れでなければ「ある」と判定されないのです。

具体的に事例を想定してみましょう。

【想定例】:普段から物忘れがあり、家族が訪問しているが、本人は訪問したことを忘れている。

簡潔な例を挙げましたが、以上のような物忘れであれば『ない』にチェックが付きます。家族が訪問したことを忘れ手だけでは、特に物忘れによって介護の手間が発生しているとは言えません。まあ、物忘れがあるから家族が訪問しているのでしょうが、それは別の話。

『ある』にチェックが付くのは以下のような事例です。

【想定例】:通帳を自分で管理しているが、どこにしまったか忘れてしまい何度も探し回る。家族が一緒に探すことが月に2回ある。

この場合、誰かが対応をしなければならない程の重大な物忘れがあり【頻度】1ヶ月の間にどれだけあるか【対応の手間】がどれだけあるかか介護度の判定の上で重要な情報になります。この例では月に2回なので『ときどきある』にチェックが付きます。(『ある』は週に1回以上『ときどきある』は月に1回以上、週1回未満)

調査員としての特記事項の記載例は、上の想定例の記載内容通りです。

また、対応が必要かどうかも、実際に対応しているかどうかとは別の問題になります。以下に字例を挙げてみます。

【想定例】:火の取り扱いが危険であり、料理をした時にガスコンロの火を消し忘れてしまうことがある。消し忘れで鍋を焦がしてしまうことが月に1回ある。周囲は本人に火を使わないように説得している。

この場合、火の不始末は対応が必要であるとみなされます。鍋が焦げるなどの生活の支障も生じています。調査員は酷い物忘れに当てはまる項目の頻度を確認し、『ときどきある』にチェックをつけ、具体的な情報や周囲の対応などを記載します。それがどの程度の介護の手間なのかは、審査会が介護度を決める場合の参考になります。

また周囲が事前に対応を行うことによって、調査前1ヶ月に問題が起きていない場合も『ある』にチェックが付きません。

【想定例】:お金のしまい場所がわからなくなることがあったので、家族が金銭や通帳を管理するようになった。以前は家族が一緒に探していたが、家族が管理するようになってから同様の行為はなく、過去1ヶ月以内に対応を行っていない。

このような場合は、物忘れに対しての対応が必要なく、『ある』にチェックが付きません。

以上のことから、認定調査に対して情報を伝える時は、普段からどのような対応をしているかがポイントになると言えます。調査前に立ち会いをする方が情報を整理する際の参考になればと思います。

単純な物忘れの症状と、認定調査で重視される情報とにはズレがあります。それを理解しておくと限られた時間で調査員に情報を伝えやすくなるでしょう。

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特記事項の記載例

以下は具体的な状況に対する記載の例文です。

【記載例】食事をしたことを忘れ「まだ食べていない」としつこく言うため、家族はやむなく少しだけ食事を用意し、本人に提供している。週に2回程度ある。

【記載例】水道を使った後に止めるのを忘れることが毎日ある。本人がを使った後に毎回家族が確認を行い、止め忘れていた場合は止めている。

【記載例】デイサービスから持ち帰った使用済みの衣服を選択することを忘れ、そのまま箪笥にしまってしまうことが週に1回ある。家族が定期的に箪笥を確認すると、選択し忘れた衣服が出てくる。

などです。軽い認知症であっても対応があれば該当しますし、逆に認知症が進行してまったく意思疎通がない状態では該当しないことになります。対応しなければならないほどかどうかがポイントになりますので、具体的な対応は必ず特記事項に記載しましょう。

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コメント

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