認定調査:「感情の不安定」「落ち着きなし」の選択基準

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雪乃
雪乃

いつもありがとうございます。認定調査の項目1つ1つがどう定義されているのかの解説を本日は行いたいと思います。調査を受ける方の参考になれば幸いです。

「感情が不安定」の定義

認定調査の4群(精神・行動障害)の項目には「感情が不安定」の項目があります。

感情が不安定かどうかを判断するわけですが、調査に立ち会いをする方と調査を行う方で認識がズレやすい項目の1つです。

感情が不安定というのは「明らかに場にそぐわない感情の表出や持続がある」「場面から見て不適当な感情の表出や持続がある」どちらかに該当しないと、「ある」にチェックがつきません。

例えば「難病があり、もう治らないと思って悲しみ、時折涙を流すことがある」という場合、これは「ある」と認定されるかどうかは微妙です。悲しむという感情があるのは事実でも、難病になったら悲しいと感じるのは当然でもあります。

ここで涙を流したとしても、それは非合理な感情の変化とは言えないでしょう。病気に対する受け止め方はそれぞれです。たとえ涙を流したとしても、それで該当するかどうかは一概には言えません。

逆に次のような感情の変化は「ある」と認定される可能性が高くなります。

例:特に前触れがないのに突然怒り出す。周囲は何が原因で怒っているのか理由がわからない。

特に怒る理由が見当たらないのに怒っているのは、明らかに場にそぐわない感情の不安定です。こうした場合では「ある」にチェックがつくことになります。

感情の不安定に含まれる行動の例

怒ったり泣いたりするのに理由があったとしても、場合によっては「場にそぐわない」と判断される場合があります。怒りや悲しみの感情が不自然に長く持続したり、怒りや悲しみの表出が度を超えている場合などです。

例えば、些細な事で腹を立て、それによって大声を出して周囲とトラブルになるなどの問題が起きる場合「場にそぐわない」と判断することもできるでしょう。トラブルになるまで怒るのは度を越していると判断せざるを得ません。

明らかに不自然な感情の変化などは以下のような場合も考えられます。

例:デイサービスから帰る時に職員から「また来てくださいね」と言われただけで、感極まって泣く。

という場合です。認知症の感情失禁の症状と考えれば、理由があると考えられますが、一般的な感覚ではまた来てくださいと言われただけで泣くのは不自然です。このような場合ではあると判断されるでしょう。

定義に当てはまらなくても特記事項の記載が必要な例

感情が不安定かどうかは思ったより判定の基準が厳しいと思われた方がいるのではないでしょうか。単純に怒りっぽい人などは当てはまらないので、認定調査の立ち会いをする人と認識がずれていることがままあります。特に病気によって落ち込んでいるのも当てはまりません。病気によって落ち込むかどうかは人それぞれですが、場面から見て不適当とはなかなか言えません。

しかし。本人の感情の不安定で対応に手間がかかっている場合は、項目に当てはまらなくても調査員は特記事項を記載した方がよいでしょう。

要支援などの軽度の方では、なんらかの感情の変化に対して手間がかかっていても、調査員が特記事項の記載をしていない例もあるようです。

例えば「死にたいと毎日訴える。家族は毎日なだめなければいけないが、場面から見て不適当な感情とは言えない」という場合、毎日なだめなければならないのは周囲にとって負担になります。調査員はこの状況を審査会に特記事項で伝えた方がいいと言えるでしょう。

落ち着きなしの定義

同じく4群には落ち着きがない行動が見られるかどうかの項目があります。

落ち着きなしというからには、不安になりタンスの中をゴソゴソしたり、周囲に同じことを何度も聞くなどが当てはまるのではないかと思うかもしれません。

ですがここで言う落ち着きなしは、家に帰りたいとか、家にいるのにその状況を理解できずに自分の家に帰ると言って聞かないなど、帰宅願望に伴うなんらかの行動が発生しているかどうかを判断する項目です。

単になんらかの不安で落ち着かないなどは当てはまらないので、注意が必要です。

実際に落ち着きなしに当てはまる例

例えば「現在、施設に入所中だが夕方になると「家に帰るので、荷物を持って来てください」と職員に何度も訴える。職員は本人が怒らないよう話を合わせながら、本人をなだめている」という状況であれば、帰宅願望とそれに伴う行動が現れています。

他「デイサービスを利用中に、他の利用者か帰る時間になると、自分も帰る時間だと思い込み落ち着きが無くなる。自分の帰り時間を何度も職員に確認する」なども当てはまります。

自分の家にいるのに、その状況が理解できない場合も含まれます。

例:自宅にいるにも関わらず、夕方になると「家に帰ります」と家族に告げて外に出ようとする。家族は一緒に外に出て、周囲を歩き周ってから自宅に戻る。

などという場合も当てはまります。

ほぼ帰宅願望があるかどうかを判断する項目なのですが、項目名が「落ち着きなし」のため、聞いただけではわかりにくいです。

調査に立ち会われる方は、日頃から本人に帰宅願望が表れているかどうかを情報収集しておいた方がよいでしょう。

また手間がどれだけかかっているかは重要な情報なので、どれほど強い帰宅願望であるかより、どれだけ手間がかかるかを伝えた方がよいです。帰宅願望の強さより、具体的な手間を説明するのに時間をかけた方がよいと言えるでしょう。

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認定調査関する記事を他にもいくつか書いています。ご参考になれば幸いです。

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