なかなか治らないうつを考える 薬の使い過ぎと反すう思考の悪影響

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増えるうつ病患者

うつ病と診断される数の人は年々増えています。2017年では推計127万人の患者さんがいると推定されています。

うつ病のほとんどは数カ月から2年くらい、治療に取り組めば治ると言われています。

薬もSSRIなど副作用が少ない抗うつ薬が使われるようになり、認知療法などの選択肢も増えています。

以前より精神科受診の敷居も下がりましたし、うつになってしまった人がよい治療を受けられるようになったのはいいことですね。
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うつを経験した人の体験談を聞くとうつになったきっかけも、うつを抜けるきっかけも千差万別なんだなと思います。

なかなか治らないうつ病の人もいる


残念ながら新しい抗うつ薬を使っても、何年も心療内科や精神科にかよっても症状が良くならない人もいます。

良くならない人は何が原因なのでしょうか?

いろんな理由が考えられますが、主なものは以下だと言われています。

  • ただのうつではなく双極性障害(躁うつ病)の場合。
     躁うつ病の場合は治療のアプローチが違います。
  • 薬の量が不十分。
  • 薬を多種類、長期に使い過ぎている。
     薬を最初から何種類も使う医師がいますが、うつに大して複数の抗うつ薬を最初から使うのが有効であるという根拠(エビデンス)は乏しいと言われています。薬の種類が増えると副作用も当然増えます。
  • 患者さんの心にあきらめや絶望がある。
     この問題は薬だけでは解決できないので、医師や周りの人のかかわり方が大事です。
  • 休養の取り方が間違っている。
     休養は治療に不可欠ですが、休み過ぎはかえって気力を奪い、回復を妨げてしまいます。
  • 背景に発達障害がある。
     発達障害の人は人間関係の失敗や叱責を多く体験することで、自分を肯定的にとらえる習慣がなかなか身に付きません。二次障害としてうつを発症する人が多く、発達障害の専門医の助けが必要です。

多くの場合うつ病は2年以内に回復すると言われていますが、全体の2割ほどの人はそれ以上の期間治療を受けていると言われています。

うつがなかなか治らない多くの場合、上であげた理由が考えられます。

薬の使い方については日夜研究されていて、効果的な処方ができるように検討されています。しかし精神科医の仙波純一氏は『精神科医は薬を出すときこう考える』の中で、日本の医師は自らの経験の中で根拠の乏しい多剤併用をしてしまうことがあり、正しい薬の使い方がなかなか理解されていないと述べています。

実際、2014年からは薬の処方のルールが徐々に厳しくなり、現在は一度に使える抗うつ薬の種類は2種類までとなりました。

他にも抗うつ薬と併せて処方される抗不安薬は2種類まで、抗不安薬と睡眠薬を併用する場合は合わせて3種類までとされています。

うつを長引かせる心理

今までの考え方では、ストレス社会でストレス耐性の弱い人や、自分で自分を追い込んでしまうタイプの人がうつ病を発症し、なかなか回復しないのではないかと言われていました。

しかし、今では患者さんの心理状態も分析され、うつが長引く原因に患者さんの心の態度があるのではないかと言われるようになっています。

先にあげた患者さんの絶望やあきらめという心理的な態度や、間違った休み方で自分の価値を見出すきっかけを失ってしまう、という問題です。

何をやっても治らない、という態度を『学習性無力感』と言います。

いろんな薬や治療を試してもよくならないという経験が重なると『何をやっても無駄』という心理的態度を学習してしまいます。

このあきらめがさらに憂鬱感を招いて、また何をやっても無駄だという思いを強くするループになってしまいます。

「病気がよくなるかどうかは医師の力による」と考えているのもこうした人の共通点です。

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休んでいても働き続ける脳

最近の研究では、特に何をしているわけでもなくぼんやりした状態の時でも、脳内に活発に活動している部分があることがわかってきました。

人はぼんやりしている時に『デフォルト・モード・ネットワーク』という回路が活動し、脳内の記憶や感情を整理しています。

脳が勝手に活動し、頭の整理をしてくれるのはありがたいことですね。

反面、仕事をしている分エネルギーを消費しています。

元来の脳科学は脳が活動している時の反応をしらべるものだったのでこの機能はなかなか発見されませんでした。

脳は人体の中でも多くのエネルギーを使う機関ですが、意識的な活動に使うエネルギーの量は脳が使うエネルギー全体の5%。20%程度は神経や組織の修復に使われているそうです。

逆にそれ以外はこのデフォルト・モード・ネットワークで使われているのです。

この脳機能の何が問題なのでしょうか?

それは、うつ病の人はこのデフォルト・モード・ネットワークの機能で、「あの時こうしておけばよかった」「もし○○だったらよかったのに」というネガティブな思考が自動的に反芻されてしまうのです。

うつ病の研究分野では、この機能が過剰に働いているのではないかと推測されています。これでは何もせず療養していても頭の中でネガティブな思考が繰り返され、結果的に回復に必要なエネルギーを浪費してしまうだけに終わります。

脳を休ませるにはどうすればいいか

この反すうをやめて脳を休ませるにはどうすればよいのでしょうか?

それは、まず反すうしていることに気づくことです。

反すうしていることに気づいたら、その瞬間だけでも意識して反すうをやめるだけでも徐々に反すうの回数が減ってきます。

代わりに今のことを考えること。長期のうつに陥っている人には無理に楽しいことを考えるのは無理があると思います。それでも、おいしいものを食べたり、好きな音楽を聴くといった方法で「今のことだけを考える」ようにするだけで、ネガティブな感情が多少和らぐでしょう。

何も急にうつから回復しなければいけないわけではありません。

しかし、休むこととはどういうことかを知り、じっくり脳を休めるだけで長期的には大きな結果が出てくるのではないでしょうか?

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