コンサルタントで虐待撲滅!

介護

こんにちは。しばらくツイッターやらYouTubeやらブログやらを徘徊してました。

今までSNSでは社会や経済に関する情報収集、発信をしていたのですが、私の本業は介護職なのでちょっと介護に関してどんな情報が出回っているのかチェックしてみようと今更ながら介護関係のアカウントをフォローしてみました。

そしたら・・

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とか

怪しげな情報が出るわ出るわ

まったく収集がつかない状況でした。

情報商材だのFX必勝法だの、昔からある楽して儲けよう系の商売ですが介護の世界まで手を伸ばしてくるんですねぇ・・

SNSで手軽に情報を得やすくなった分、また商売をしかける方からしたら情報発信が楽になった分、こういうビジネスの幅も広がりましたね。

先に断言しますが楽して儲ける方法などないか、あっても並外れて高い能力のある人しか実践できない方法しかないです。

くれぐれもこういうのに引っかからないようにしてくださいね。

そうでなくても人は「自分は特別」「人並み以上の能力がある」という思い込みを
持ちやすいので、根拠のない自信に要注意。こちらを参考にしてください。

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コンサルで虐待を無くします!と豪語する人


ここからが本題です。高齢者施設での虐待のニュースって耳にした方は多いですよね。

実際に施設での虐待は発生していますし、認知件数は増えています。

これは今までは虐待とされていなかった事例でも虐待であると認識されるようになったためとか人権意識が向上したとか、そもそも高齢者の数が増えているからという理由も考えられます。

また介護施設以外での虐待も当然あります。家族が介護していて自分で介護の負担を背負い込みすぎたり、そもそも家族間での仲が悪いのに仕方がなく介護をやっていたり、家族による高齢者虐待は十分にあり得ます。

介護は人と人との関わりなので、虐待はいつでも起こりうるものと考えた方がいいでしょう。

まあそんなわけで国も介護施設に虐待防止の研修の実施を義務付けたり、資格試験には虐待に関する設問を設けたりいろいろやっていますが根絶することはできない。

そんな難しい問題にズカズカと踏み込んで、俺のやり方で虐待は無くせるんだあ!とか言ってるのが自称コンサルとか介護アフィリエイターとかなんですよね。


腹立たしいことこの上ないです。

あるコンサルは言います。

施設では虐待防止研修なんかやってるが、そんな研修は無駄。働き方改革で職場環境を改善すればいい。

先に言いましたが、施設での研修の実施は義務化されています。研修はやらなければ指導が入る。

俺は介護をやりながらビジネスでこれだけ稼いだ、と豪語しながら業界の基本のキも知らないんですかね。

働く環境を改善するべきだという意見は同意。

虐待防止研修の内容が乏しいという意見ならまだわかる。

ただそこで働き方改革→虐待を防止できると発想を単純化するのが問題です。

また別の自称コンサルは言います。

虐待を無くすには、チームワーク向上、業務の簡略化、職場環境改善。一番いいのはストレスマネジメント。

私がコンサルに行けば、少なくともその施設からは虐待を無くせる。

(注)先に挙げた意見も含めて、これらは発言を要約したもの。

これも先の例と同じで職場環境改善など部分部分では同意できるものの、問題を単純化しすぎです。

以下、具体的にツッコミを入れておきましょう。

ストレスマネジメント自体が簡単な問題ではない


ある企業の例を挙げましょう。

その企業は世界的にチェーンを展開し、ありとあらゆる国に店舗を出店している外食店です。

業務は徹底的にマニュアル化され、従業員の接客、調理はまったくスキがないように効率化が追及されています。レジ打ちから出来上がった商品の告知まで常にシステムの改善が図られています。

しかし、それだけ効率の良い経営を追求して、事業を拡大してもその企業には解決のできない問題があります。

業務はマニュアルに沿って同じ作業を繰り返すだけ。接客や職場の人間関係でもストレスがかかる。特に仕事でもやりがいを感じられない。

そのような条件で従業員のモチベーションは維持できず、離職率が高い。

その企業とは、誰もが目にしているであろうマクドナルドのことです。

マクドナルドのようにマニュアルを徹底して効率化を追求した単純な仕事をマックジョブと言いますが、上記の問題点はクリアできていないのです。

介護の職場でも記録作成に電子端末を使ったり、見回りロボットや寝返り支援ベッドの導入など業務を簡略化、負担軽減できる余地は十分にあります。

特に外国人人材の導入を進めている法人などでは外国人にも業務がこなせて、また日本人職員も職場に定着ができるように電子化などはすでに進められているのですが、人と人とのつながりのある職場でストレスは減らせても無くすことはできません。

あり得ませんが職員のストレスのみが虐待の原因でストレスを無くせば虐待が無くせるのだと仮定して考えてみましょう。

職場環境でのストレスは減らせても、人と人との相性がある限りどうしてもストレスは発生します。

職場でのパワハラ、モラハラ、セクハラを根絶できますか?

仕事でのモチベーションは維持できますか?燃え尽き症候群になる職員はいませんか?そもそも管理職にサイコパス傾向のある人間はいませんか?

ストレスを無くす、減らす、というだけでもいかに困難か想像がつくでしょう。

また職場外でのストレスの管理は難しいですね。職員が家庭で子育てに悩んでいたり嫁姑問題を抱えていたらそこまで踏み込めません。

簡単に職場環境を改善出来たら、精神障害の労災なんか簡単に無くせるのです。

従業員の精神衛生問題が簡単に解決できると本気で思っているのなら世の中舐めすぎでしょう。

虐待の原因は不適切な介護、間違った介護知識等いろいろある


虐待の原因がストレスだけであったらまだましでしょう。

現実問題としては虐待は精神的虐待、ネグレクト等種類が多く虐待を減らすには介護の知識、経験が豊富にある職員の存在が不可欠です。

たとえ職員に悪気がなかったとしても要介護者に精神的負担がかかる言動は介護現場では起こりえます。

例えば施設である利用者が失禁したとして、それを職員が他の利用者に聞こえるような声でユニットリーダーに報告したとしたらどうでしょうか?経験の浅い職員はそれが不適切な言動だと気づく力がないかもしれません。

また不用意な言動をする職員に指導できる力量を持った管理職やリーダー各がの育成ができていない施設もあるかもしれません。

ナースコールを何度も不必要に鳴らされたら利用者からナースコールを鳴らせないようにすればいいと思っている職員もいるかもしれません。これは介護放棄に該当します。知識、意識がなければ解決できない問題なのです。

不祥事は起こりうるという前提での対処が必要


日頃から企業の不祥事のニュースはよく流れていませんか?

不祥事は企業の信頼を落としますし、不祥事を起こしたくて不祥事を起こす企業などないでしょう。

それでも起きてしまうのが不祥事と言うもの。

金融機関はよく、数年ごとに職員の配置換えを行います。

それは昔、ある金融機関で不正を働いた職員が同じ部署に長く居続けたために不正の発覚が遅れたという教訓があるためです。

金融機関は融資担当でも窓口でも、数年ごとに別の支店に移動させられます。

もちろん金融機関は支店の管理職に不正がないよう業務をさせているし、不正を抑止するための教育は行いますが、それでも信用が第一の金融機関だからこそ不正を働く職員がいるかもしれないという前提での経営をしています。

介護施設でも人間が働いている以上、人間性の未熟な職員がいるかもしれないという前提に立たなければやっていけません。

また、職員を信用していないわけではなくても現実的な対応を取らねばならない場合だってあります。

虐待はどこでも、いつでも起こりうる。例え内容が乏しくても虐待防止研修の実施を含めて様々な方法を模索していくべき、というのが常識的な判断でしょう。

まとめ


上記は主にビジネス系介護ツイッタラーの言動にツッコミを入れたものですが、わかりやすいものに流されやすい人間、というものは常にいます。

そんな単純な問題ではなくても単純にしてズバッと言ってくれたら「わかりやすい!」と飛びつきたくなるのは多かれ少なかれ誰にでもあります。

防衛策は、地道に勉強すること。それこそ以前の記事で紹介したメタ認知を取り入れて人生経験を積むこと、くらいしか今の私には紹介できません。

SNSをぼんやり眺めているとトンデモの信奉者になってしまいますよ、という救いのないお話でした。

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感想(1件)

特に今回の記事の作成にあたって参考にした、というわけではないですが単純化して考える悪い癖を矯正する書籍の一つ。

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