ヴィーガン食で子供を餓死させた親が逮捕される
海外のニュースサイトで、アメリカのフロリダ州に住むヴィーガンの両親が子供に生の野菜と果物しか与えず、餓死させてしまった事件を報じました。
亡くなったのは30歳の父親と35歳の母親に育てられていた子供で、母親は病院ではなく自宅で出産したとのこと。冷たくなっていて息をしていないと両親が救急に通報し、駆けつけた救急隊員によりその場で死亡が確認されたようです。
この両親に育てられていた子供は他に3人いましたが、いずれも同年代の子供に比べて体格が小さく、栄養失調状態でした。また両親は学校にも子供を通わせておらず、不適切な家庭環境にあったものと思われます。3人の子供は保護されました。
ヴィーガンとは?
ヴィーガンとはベジタリアンの一種であるとされていますが、考え方はかなり極端です。肉や魚を食べないのはもちろんのこと、卵や牛乳も食べません。動物愛護の精神が強いのか蜂蜜を食べることさえ「動物からの搾取である」と主張して忌避します。
動物性の食品をまったく食べないのなら、たんぱく質が不足してしまいそうなものですが、たんぱく質はまだ大豆などから補うことができます。
しかし、人間にとって不可欠な栄養素のビタミンB12は、動物性食品からでなければ接種できません。この栄養素はかなりの量を人体にストックしておくことができるので、健康な人がヴィーガン食に切り替えたとしてもすぐには問題が出ません。しかし、長期間を経てストックしたビタミンB12を使い切ってしまうと、欠乏症状が現れます。
欠乏症状としては
・悪性貧血
・しびれ、目の疲れ
・めまいや目の動機など
様々な症状が現れます。ヴィーガン食を始めてから時間が経ってから健康への悪影響が現れるので、気づきにくいのが厄介ですね。
過激なヴィーガン信奉者が問題を起こす
ヴィーガンにもスタンスは様々です。現実問題人が何を食べるかはその人のスタンスがありますので、自由です。他者の価値観を尊重して周囲との調和をはかる穏健派ヴィーガン、これは問題を起こしません。
まあいくら穏健派ヴィーガンがいるのだとしても、過激派ヴィーガンが問題を起こしまくっている以上、ヴィーガンをひとくくりにして批判する流れになるのは仕方がないと思いますけどね。
今回の冒頭の記事で親が子供を死なせるのは論外ですし、死なないまでも偏った食事で発育不良になっている子供はその何倍もいるのではないでしょうか。はっきり言って親のエゴです。
またヴィーガンは往々にして自分の家族以外にも過激な思想を押し付けます。
海外でヴィーガンがステーキハウスに乱入し「私たちの前で肉を食べている!」などと騒いだ事件ですが
わざわざ肉を食べている現場に乗り込んだのはあなたたちでしょう、と思うのは私だけでしょうか?
この調子ではヴィーガンと非ヴィーガンが分かり合える日は永遠に来ないだろうと思ってしまいます。
育児ネグレクト事件はヴィーガン以外も起こしている
子供が栄養失調で亡くなってしまったのは明らかに親が偏った思想を子供に押し付けたからですが、同様に誤った知識で子供への虐待案件を生じさせているグループがいます。代表的なのはホメオパシー信奉者です。
ホメオパシーとは、ざっくり言うと「毒を薄めて与えれば自然治癒力が働いて病気は治る」という考え方の民間療法です。これに実際の治療効果はないことはすでに研究で明らかになっています。
ホメオパシーは高熱の患者に解熱剤を与えたり、細菌感染の患者に抗生物質を与えてはいけないと主張することが多いです。症状を抑える薬を与えると、体が病気を自然に治す力が失われるというのが信奉者たちの主張です。
だから、ホメオパシーにはまった親たちが病気の子供を病院に連れて行かず、効果のないホメオパシー治療薬を与えて病気が手遅れになったという例が多数報告されているのです。
これらも当然、医療ネグレクトです。
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ホメオパシーはニセ医学の代表例です。
インターネットでは、さまざまなホメオパシーの体験談が語られています。例えば、中耳炎の子どもに対して母親がホメオパシーによる治療を続け、2週間以上も高熱が続いたケースでは、祖父母から「孫を殺す気か」と言われて総合病院を受診し入院となりました。
出典 https://toyokeizai.net/articles/-/282404?page=3
ホメオパシーは単なるおまじないだとわかっていれば、数日も熱が続けば病院を受診するでしょうに。この事例は、子どもに必要かつ適切な医療を受けさせていないので、児童虐待の一種である医療ネグレクトとみなされます。
ホメオパシーはワクチンについても否定的な見解を繰り返し表明しており、ワクチンに対する不安を煽っています。
ヴィーガンやホメオパシーなどは「自然のものが体にいちばんいい」という一種の信仰に基づいているところがあります。
しかし、抗生物質や化学肥料などを使わない、自然のものだけに頼っていた時代は今よりも人がたくさん死んでいたので、あまり自然に幻想を求めない方がいいでしょう。
「自然派」を自称するママのトンデモ理論
「火傷はあたためる」というブログを自然派ママを自称する人物が投稿していました。無論、この内容は科学的根拠がなく、でまです。ホメオパシー理論の派生です。
自然派と称する人がおすすめしている方法はどれも根拠がなく、子供の命を危険にさらすものさえあります。
もちろん、今の医療が完璧でもう改善する余地がないわけではありません。しかし、巷にあふれる健康情報はけっこう危険なものが溢れています。
ネットでなんでも情報が手に入る時代にはなりましたが、流れてくる情報はまさに玉石混淆です。正しい知識を身につけなければ、自分が被害に会うばかりか、子供に対する虐待加害者にもなりかねませんので注意が必要です。
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