いつもありがとうございます。大阪府知事、大阪市長がコロナ対策としてヨードを使ったうがいを提案したことに対し、私のタイムラインではかなり批判が殺到していました。私としても今回の提案はかなり効果を疑問視せざるを得ず、これまでの大阪の取り組みも含めてまとめてみたいと思います。
ヨード液を使ったうがいへの疑問
大阪府知事殿が、何かやらかしたようです。なんでもポピドンヨードを使ったうがいが、新型肺炎の重症化を抑制するという研究成果が出たと会見で述べたとのことです。
もし知事殿のおっしゃる通りの効果があるのであれば大変喜ばしいことなのですが、「やらかし」と言われるのには理由があります。根拠に乏しいと思われるからですな。
Twitterの医学クラスタからは、かなり強めの批判的意見が噴出しています。主だったものをいくつか挙げてみましょう。
うがい自体には、感染症の拡大を予防する効果があると一般的には言われています。ですが、現在ではポピドンヨードを使ったうがい薬でのうがいは推奨されていません。またポピドンヨードうがいが効果を示したとする見解ですが、ポピドンヨードを用いたうがいと普通の水のみを使用したうがいとで効果が比較されているのかがよくわかりません。
通常の風邪に対しての話ですが、ヨードうがいは水うがいと比較して効果が乏しいという見解がすでに示されています。ヨード液に殺菌効果があることは既知の事実なのですが、上に引用したツイートにある通り、人体の組織にも悪影響を及ぼしかねません。他にも常在菌を殺菌してしまい、かえって他の菌やウイルスが増える余地を与えてしまいます。
吉村知事の会見を見てみました。知事は「市販のうがい薬があるのですから」「すでにやっているうがいにヨード液を足すだけのことですから」という事を根拠に「ヨード液を用いる事にデメリットはないと思う」という旨の事を述べています。しかし既に引用したツイートにもある通り、デメリットがないとはとても言えない。
うがいをすれば確かに口腔内のウイルスは洗い流されるでしょう。唾液のPCRを行なって陽性が減ったとしていますが、それは病状が改善したのとは別に、口腔内のウイルスが減少しただけではないかとも考えられないでしょうか。
睡眠中などに、ウイルスを含んだ唾液を誤嚥してしまい肺炎が重篤化する可能性も会見では指摘されていましたが、それを以ってヨード液に優位性があると判断するには材料が不十分ではないかとも思います。
研究自体には意味があると思います。問題はその研究結果をどう解釈するかです。自分に都合のいい拡大解釈をするようなことがあればそれは問題です。
現時点で判明していることだけが全てではありません。今後、別の知見が提示される可能性も考えなければならないでしょう。しかしヨード液うがいはこれまでの取り組みから、効果が否定されてきたことにも目を向けなければなりません。今さらヨード液うがいを提案するのは、周回遅れのような気もします。
大阪の他の取り組みも大丈夫なのだろうか
このヨード液うがい以外にも、大阪の感染症拡大抑止の政策には疑問を感じることが多々あります。
例えばワクチンの治験に関してです。
治験の被験者は、あくまでも自由意志に基づいて参加するものです。関係者を対象に治験を行うということは、被験者に選ばれた人がイヤとは言えない状況におかれかねず、倫理的な面での問題を感じずにはいられません。
また、関係者を被験者に選び、行政の首長が音頭を取っていると、ワクチン接種により何らかの健康上の支障が生じたとしても充分に訴えることができなくならないでしょうか。そのような研究では、研究成果に対して信頼を充分に得られるものなのでしょうか。ここにも倫理の欠如を感じます。
それにしても、5月時点で9月のワクチン実用化を謳いあげ、政党のチラシとして配布しているのですね。あと1ヶ月で9月ですが、そんな目処が立っているのでしょうか。
できるかできないか怪しいものをできますと言って宣伝し、結果が伴わなくとも何ら責任を取らない。そのような態度に不誠実さを感じます。
他にも10万円の給付が決定したことがチラシに明記されています。政党チラシとして、そのような情報を届けることには問題がありませんが、大阪市では10万円の給付が遅れに遅れていることが気がかりです。
他の政令指定都市等と比較しても大阪市は明らかに遅い。このような基本的な行政遂行能力にさえ事欠く自治体の首長殿が、なぜ連日テレビに出演して大きい顔をなさっているのか、当方としては理解に苦しむ。
大きな事を言うのは当たり前の事を当たり前にやってからにしろと言いたい。
感染防護服にしても、足りなくなったのは仕方がない。ただそこで代替案として、何を思ったかレインコートを寄付してくださいなどと呼びかけたのが意味がわかりませんでした。
市民の好意で、大量のレインコートが寄せられたことはまあ良かったのかもしれません。ですが、それが捌ききれず大量に積み上がってしまったのは、やはり問題だと言わざるを得ません。
寄付を募るのであれば、大口のみ。より望ましいのは市がまとめて購入する。このようなやり方をせず、小口でサイズ品質がバラバラなレインコートをむやみに受け付けるのは、現場が混乱するだけです。
どうするんですか、これ。
やっていることの1つ1つが、杜撰です。稚拙です。「頑張っているのに、批判するなんて酷いじゃないか」という声が聞こえてきそうです。
ですが、本当に頑張っている人は、テレビになんか出ている暇はありません。
テレビでよく顔を見ているだけで「○○さんは頑張っている」と評価する人のなんと多いことか。しかしやっている事をきちんと評価して判断しないと、不利益は住民が被ることになるのです。
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