【介護】看取りの在り方について

介護

とある介護施設が炎上していました。関西にあるサービス付き高齢者向け住宅とのことです。

この施設の何が問題だったかというと、入居されている方がターミナル期に入ったとのことで、何を思ったかその方への看取り支援について詳細をSNS上に書き込んでしまっていました。

内容も問題で、その方の生活の様子について「ギャラリーを作りました」とその方の普段の生活の様子をまるで見世物にするかのような紹介の仕方です。

その方のお部屋の普段の様子として、トイレットペーパーが引き伸ばされ、床に落ちている様子も再現されています。その画像が掲載されていました。

その方の生活が見世物のように展示されている

写真から、その方は普段からトイレットペーパーを上手く使えなかったのだと推察されます。それは悪いことでもなんでもない。そういうご本人に対して施設職員がどういう関わりをしていたか、施設職員の中には本人のエピソードとして心に残るでしょう。しかし、それをSNSで世界に公開する意味が私にはわからない。

ご本人との接したエピソードを職員が大事に思っているのであれば、SNSに画像を載せないんじゃないでしょうか。

一般的には、誰も望んで排泄が上手くできなくなったりはしません。床にトイレットペーパーが垂れている生活を送る事なんてご本人は望んでいないでしょう。私の憶測ですが、トイレットペーパーが床に垂れている光景を死後に公開されるなんて思っていなかったんじゃないでしょうか。

本人の尊厳や、口にされない想いを汲んでいくのが介護従事者としてあるべき姿です。ご本人に対してどこまで配慮していたのか甚だ疑問に感じる投稿です。

この件でさらにおかしいと感じたのは、ご本人が亡くなった後、施設で追悼を行ったようですが、その光景がSNSで公開されていた事です。

動画公開となっており、故人の棺の前に車椅子の施設入居者が連れられ、眠っているのか意識のない状態で職員が花を持たせ棺に花を入れていました。その光景が#スリーピング献花というふざけたタグをつけられ投稿されているのです。(現在は削除された模様)

献花させられた利用者と故人には、生前特別な関係性があったのかもしれない、とは思いますが、眠った状態で献花するのがいい事とは思えない。

いいと思ってやったのかもしれないが、わざわざSNSで公開する必要はないでしょう。故人への敬意があれば、無理に棺に花を入れさせるなんて事はしないと思う。

基本に立ち返って考えましょう。

看取りとは、誰のものか。人が亡くなるという体験は、本人のものです。家族にとっても大きな出来事です。

看取りをするのは、介護サービスの従事者が前に出て自分達の体験として受け取るようなものではないです。

それを履き違え、あたかも介護従事者が看取りの主役であるかのように誤解していたり、誤解を他者与えかねない投稿があるのを危惧しています。

介護従事者は脇役です。思い上がっているのか「私たち介護施設は利用者の家族」と言う人もいるようですが、家族になんてなれないのです。血の繋がりも過ごしてきた時間も、ほぼ必ずと言っていいほど、家族には及ばない。及ぶわけもない。ただの思い上がりだと思う。

家族とはそんな簡単になれるものではないです。そして看取りや人の死に関わる人達は、自分達の立場を弁えた方がよろしい思う。個人への敬意とは、何か。SNSに画像を簡単に掲載するような人達にそれがわかろうとは、私は思っていない。

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