服薬をさせないのは『その人らしさを守る』ことなのか

介護

本日も炎上案件のご紹介になります。

テレビ発、Twitterで炎上となった事例です。

関東ローカル番組で紹介されたある介護施設では、認知症や統合失調症で不穏があり、他者に対して暴力を振るってしまう方も受け入れているとのことでした。

それは結構なのですが、施設のスタンスとしては、そうした症状のある方に服薬をさせない、としているようです。

テレビ番組では、そのスタンスを「薬を使わないことでその人のありのままを受け入れる」と紹介しています。

しかし、映像を一部拝見しましたが、テレビに映っていたある利用者は、明らかに職員に手を挙げていました。

率直な私の感想としては、病気によって暴力を振るう方は医療による介入を検討するべきだと思います。

統合失調症であれば、その人の頭の中ではその人を責める幻聴が響いていたり、被害妄想を抱いている可能性があります。

病気によって引き起こされた症状があるのだとしたら、それによって暴力を振るうその要介護者の行動は、その人らしさに起因するものだと言えるのでしょうか?甚だ疑問です。

スタッフの対応によって、暴力行為に薬を使わず介助をすることができるのかもしれません。スタッフの安全確保を怠っていると思いますが。

しかし、薬を使わない事によって、その要介護者は統合失調症の症状にいつまでも苛まれる可能性もあります。それは本当に適切な対応と言えるでしょうか?

このような疑問に対して、「薬で管理するなんて患者の排除だ」と持論を展開し反論を試みていた人もいました。

ですが、批判的意見は診察、診断、治療という医療の介入の必要性を主張しているだけです。それを「排除だ」とまで言って退けるつもりであれば、どこが排除になるのか示すべきでしょう。

また、医療的な介入を排除と断ずるのは、医療を提供している側の人達にあまりにも失礼極まりない。

私はそのような不誠実な主張に対してはツイートでの反論を試みています。

こう言う私でも医療的介入には何も問題がないとは思っていません。服薬することで副作用が現れる場合もあるからです。ですが、程度問題で何も介入をしないと最初から決め打ちするのは医療的なネグレクトにあたるのではないかとさえ思います。

さらに、服薬しないのがその人のありのままだという主張にも反論を加えていきたい。

様々な精神疾患を抱え、治療のため服薬している人は現代社会にたくさんいます。私はその一人でもある。

服薬はありのままのその人ではなくなるという意見は、精神疾患に対する服薬治療を受けている方への偏見から来ているのではないかと思う。

精神疾患を抱える方へのアプローチは、本人や家族の希望、その人を取り巻く環境、専門職の意見、あらゆる事情を考慮して検討していくべきと考えます。

あまりにも偏った、精神疾患当事者や医療提供者に対する配慮の欠けた、一方的な意見が展開されたのはとても残念なことでした。

様々な疾患のある方を受け入れると言えば聞こえはいいのかもしれない。でも服薬という選択肢を受け入れていない。ただの矛盾です。Twitterでは批判的意見が飛び交いましたが、精神科医療に対する無理解招いたものと私は考えています。

「その人らしさ」などを上辺で語って欲しくはないと思います。

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