嚥下障害・誤嚥性肺炎を予防するには

介護

年始に介護施設での餅提供は法規制するべきだと主張する人がいたので、高齢者の嚥下機能低下や窒息に関する記事を書きました。

高齢者は様々な原因で嚥下機能が低下するので、一律に対応を決めてしまうのではなく、この人にはどのような対応が必要なのかを個別に考えた上での対策が必要ですね。

介護施設や病院では体力の低下とともに嚥下機能が低下した人の対応が多くなるので、食事に関しては普段からより注意が払われています。

「法律で○○を禁止するべき」という主張は大きなお世話だと改めて述べておきます。

一方で食事などを喉に詰めてしまう窒息事故の6割が病院や介護施設で起きているのも事実です。窒息以外にも、唾液や胃液などが気道に入ってしまいうまく排出できず誤嚥性肺炎という病気になってしまう場合もあります。

高齢者だと寝ているうちに唾液などが気管支や肺に入ってしまうこともあり、口の中の菌が肺炎を引き起こしてしまいます。寝ているうちに気づかず入ってしまうのですから、リスクの高い人は普段から気を付けておかなければいけません。

私は普段受けている研修や院内勉強会などで「口腔ケアをしっかりおこなって、口の中を清潔にしよう」や「脳梗塞などの疾患があるとリスクが高いから注意しよう」という話を聞くことが多いのですが、誤嚥性肺炎には他にも要因があります。

今回は誤嚥性肺炎のリスクを高めるサルコペニアについて紹介したいと思います。

サルコペニアって何?

介護関係の方はサルコペニアを聞いたことがある方も多いと思います。サルコペニアとは「加齢による筋肉量の減少」を意味する言葉として提唱されました。

加齢による筋力低下と言えば、高齢になって歩くのが大変になったりを思い浮かべるかもしれませんが、実際は嚥下に関する筋肉も減少することがあります。

また、サルコペニアの原因は加齢以外にも活動量の低下、低栄養などがあります。

高齢者で誤嚥性肺炎を発症した人は、すでにサルコペニアを発症していた可能性があるとされています。(出典:摂食・嚥下障害ケア 若林秀隆医師)

サルコペニアと嚥下障害

サルコペニアが全身に認められる場合、嚥下に使う筋肉も減少している可能性があります。

また、誤嚥性肺炎で入院となった場合、絶食して点滴を行ったり、ベッド上で安静臥床となることが多いです。

口からの食事が行われない場合、嚥下に使う筋肉も使われなくなり嚥下機能がさらに低下するリスクがあります。不適切な栄養管理が行われると筋力低下にさらに拍車をかけてしまいます。

サルコペニアで筋肉量減少→誤嚥性肺炎の発症→誤嚥性肺炎の対応でさらに筋肉量の減少→誤嚥性肺炎のリスクがより高まる

という悪循環に陥ってしまう可能性があると言えるでしょう。

もっともサルコペニアと嚥下障害にはまだわからないことが多いという意見もあります。『摂食・嚥下障害ケア』の中で藤島一郎氏は「サルコペニアと嚥下障害についてはまだわからないことが多く、今後の研究結果によって明らかにされなければなりません。」としています。しかし嚥下障害にサルコペニアが関わっている可能性は高いとして予防の大切さも同時に述べています。

栄養を摂ること、口腔ケアをすることが予防

サルコペニアはまだ一般の人には馴染みがない言葉だと思いますし、私がケアマネジャーの試験勉強をした時もほとんど出てこない言葉でした。

サルコペニアと嚥下障害・誤嚥性肺炎のリスクはまだ明確にはわからないとしても、サルコペニアが生活の質を下げることはほぼ間違いないので、予防することが大事だとは言えると思います。

加齢や病気で筋肉量が落ちてしまうことは仕方ありませんが、外出を増やして運動の量を確保したり、食事でたんぱく質をしっかり摂る必要があるでしょう。高齢でも歯が健康でお肉や魚をしっかり食べている人は元気な方が多いという印象があります。

若いうちから歯磨きなどの口腔ケア、バランスのよい食事をしっかりしておくと健康を保てそうです。たとえ高齢で嚥下機能が落ちてしまったとしても、なるべく栄養状態を保てていたほうが肺炎に対する抵抗力もつきますしね。

また、以前の記事でも述べましたがご家族が最近むせやすくなった・・と気になる場合、介護保険の認定を受けておられる方は嚥下に関するリハビリテーションを介護保険で受けられる可能性がありますので、ケアマネジャーさんに相談してみるとよいかと思います。

高齢で歯科医への通院が難しい方は訪問診療を受けることもできます。歯科医から定期検診をお勧めされている方は虫歯予防のためにもしっかり通いましょう。

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感想(27件)

最近は歯磨き粉に使えるフッ素の量が緩和されたので、高濃度フッ素配合の歯磨き粉が簡単に買えるようになりました。他にも歯間ブラシやデンタルフロスなどを使って口腔ケアをしっかり行いましょう。

ちなみにマウスウォッシュはあまり意味がありません。虫歯の原因菌はバイオフィルムと言う膜で保護されているため、しっかり歯磨きをしておかないとマウスウォッシュだけでは殺菌できません。マウスウォッシュを使うなら、歯磨きをしっかりしてバイオフィルムを除去してからでないと効果が出ないので、今のところ歯磨きを時間をかけて行うのが一番効果的な虫歯対策だと言えるでしょう。

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