デンマークと日本の介護

介護

日本と他国の価値観の違いについてまっとうな意見を書かれているブログがありました。

私も「海外では〇〇だから」「こんなの海外では通用しない」

とか言っている人をみると

こ こ は 日 本 だ

と大きな声で言い返したくなります。

海外のやり方を取り入れて、改良をしていけるのであれば検討はしてみるべきですが、日本に馴染まないやり方を取り入れたって仕方ありません。

今回は、川口・マーン・恵美さんというドイツ在住の日本人が書いた『老後の誤算』という本から、海外の介護事情を紹介してみたいと思います。

老後の誤算 日本とドイツ [ 川口 マーン 惠美 ]価格:1,540円
(2019/12/22 22:50時点)
感想(0件)

エルセーヌのエステ体験行ってみた!【画像あり】

孤独に過ごすデンマークの要介護者

デンマークでは高齢化が進んだ1960年代、老人ホームをたくさん建設しました。

デンマークは北欧の国として、基本的に福祉国家です。老人ホームの自己負担費用はなるべく年金でまかなえるように設定されました。

しかし、国費の負担が重くなってしまったことから、次第に方向転換が図られます。

80年代には在宅介護を推進する方向に切り替え、自宅にヘルパーが訪問する形での介護が主流になっています。

日本でもドイツでも、歳をとってもなるべく住み慣れた自宅で過ごしたいという気持ちは共通しているようです。このデンマークの介護事情は、一見すると理想的なモデルに見えるかもしれません。

ドイツのテレビではしゃんとした姿勢で車椅子に乗って自宅で暮らすデンマークの高齢者が紹介され、テレビに映る高齢者は「一人でもちっとも寂しくない」と語るのです。

確かに高齢者が自宅で暮らし、尊厳を保って生活している姿はちょっと憧れそうです。しかし北欧では親と子供が同居する世帯はほとんどないのだとか。

高齢者の単身世帯や、高齢者世帯で高齢者がひっそりと自宅で過ごすのは、ただの閉じこもりなのでは?と一人のケアマネとしては思わずにおれませんね。

「本当に寂しくないのかな?」「一人での生活は不安じゃないのかな」

と思ってしまいます。彼らのもとには一日に何度も介護士が訪問します。

しかし、一人で過ごす時間の方が圧倒的に長いでしょう。老人ホームに入りたいと思っても、老人ホームの数が少ないデンマークでは医師の承認を得た一部の人しか老人ホームに入れません。

デンマークで在宅介護を受ける要介護者は幸せと言えるのでしょうか?

デンマークでの介護現場ではリスクに対して受容的であるそうです。

どういうことかというと、高齢者が一人で自宅で生活していると、転倒してしまうこともある。入浴中の事故や、発作を起こして倒れているということもあるでしょう。

日本ではそうなったらどうしよう、なるべくリスクを減らさなければと考えますが、北欧は「そうなったら仕方がない」と捉えて対応するそうです。

事故は起こりうることなので、転倒してもすぐに助けに行けばいいという発想です。そういう方法をとらざるを得ないのでしょうが、ドライな発想です。助けに行けなければそれはそれで仕方がないという風に考えられます。

「割り切り」が徹底しているのです。日本では馴染まない発想です。高齢者が一人暮らしをしていると、家族から「夜間に転倒したらどうしましょう」と何度も相談されます。リスクを無くさないといけないと考える人の割合は体感的に多いなと感じます。と言っても、私は海外で生活したことがないので比較のしようはないのですが・・・

私も転倒のリスクはどうしたって無くせないので、有る程度は受け入れるしかないですと説明するのですが、なかなか納得を得られることは少ないです。市から支給される緊急通報装置の案内をしたりしますが、自分の親がリスクのある状況に置かれることを受け入れられない家族はやはりいます。

私もそういう気持ちを無下にはできないので、ショートステイや施設入所の方向で話を進めるパターンになっていきます。

デンマークの割り切りはどこから来るのか?


デンマークの高齢者が全てではないにせよリスクを受容し、一人でも在宅生活を続けられるのはどういう背景があるのか?

川口氏は、地理的な条件や歴史的な経緯があるのではないかと分析します。

いずれにしても、日本が北欧モデルなどを採用すれば、長い歴史に育まれた性格の違いが出て、多くの人が孤独に耐えられなくなるような気がする。日本人は、狭い国土で老いも若きも肩を寄せ合って過ごしてきた。北欧は人口密度が希薄で、もともと人々が自然の中で孤独に暮らしてきたという背景がある。誰もが日本人より孤独に慣れ親しんでいる。

引用 『老後の誤算』

感想:文化を無視して制度は作れない

ある意味、北欧の人々は精神的に自立していると言えばそうかもしれませんね。

しかし、日本人の心情に馴染まない制度は、そのまま日本に持ってこれないでしょう。

国はそれぞれに歴史があって、地理が違い、文化が違います。価値観も当然違います。

文化人類学者のジャレド・ダイアモンドは教育についてもその集団の生活様式に大きな違いが生じると指摘しています。

狩猟や採集で食料を確保する集団は、子育てはどちらかというと放任です。

しかし集団で農耕や牧畜を営む集団は、集団で大事にしている家畜や農耕器具を子供が誤って傷つけてしまうことのないよう、子供のしつけは厳しくなります。そして集団のルールを守り、助け合って生きていく生活スタイルを築きます。

今は海外から物を輸入できるし、生活スタイルは先進国で画一的になっているようで、家族の形態は今でも国によって違います。

他国の文化を尊重すること、また自国の文化もよく理解すること。これがなければより良い制度は作れないでしょう。

すぐに海外では~と言う人のことを「海外出羽守(かいがいではのかみ)」と言いますが「出羽守の言うことなんて、どうせ絵空事」と思ってしまうのはわたしだけでしょうか。

エルセーヌのエステ体験行ってみた!【画像あり】

コメント

タイトルとURLをコピーしました