発達障害の1つ 学習障害とは?
発達障害は注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、そして学習障害(LD)の3つがあるとされています。
私はADHDとASDの併発型であることもあって、また周りの発達障害の人も私と同じようなタイプの人が多かったことから、学習障害の具体的な知識が不足していました。
今回は学習障害の特性について取り上げます。
学習障害は知能全般は普通ですが、知的能力が部分的に遅れてしまう障害です。
だいたいが小学校に入学してから気づくケースが多いです。
最近は発達障害の認知度が上がってきたため早期に発見され適切なサポートを受けやすくなったとは思いますが、まだまだ認識の追いついていない先生も多いかと思います。
私などが子供のころは発達障害がほとんど認知されていなかったので、社会に出てから診断されました。私の子供時代よりはマシだと思いますけどね。
学習障害は全般的な知能には問題がないため、読み書きができない、計算ができないなどの問題があっても「怠けているのではないか」と周囲に思われがちです。
学習障害の人は決して怠けているわけではなく、生まれつきの障害で能力を発揮できないだけなので、本人に合ったサポートを提供するのが望ましい対応です。
1人でも多くの人が適切なサポートを受けられるようになってほしいですね。
学習障害は6つの能力に障害が現れます。このうち1つ以上に当てはまれば学習障害の可能性が高いです。
では、具体的にどんな能力の障害を持ち、どのような困りごとがあるのか見てみましょう。
「聞く」能力の障害
- 会話の内容が理解できない
- 文章の聞き取りができない
- 単語の聞き間違いが多い
- 長い話を聞くことが苦手
「会話の内容が理解できない」場合は、会話に参加していても何を話しているのか理解できなかったり、話の内容を憶えておくことも苦手です。
「文章の聞き取りができない」は本の文章を誰かに読んでもらっても、聞き取って内容を理解できないなどです。
「単語の聞き間違いが多い」のは「クラス」「グラス」「カラス」など似た言葉を聞き分けることができないことを言います。ますます会話の内容が分からなくなってしまいます。また、きゃ、きゅ、きょや、しゃ、しゅ、しょなどの拗音は特に聞き取りにくいとされています。
以上のようにこの能力に障害があると話を聞くのに人並み以上に集中力を必要とします。「長い話」は途中で集中力がきれ、特に理解できなくなります。
「話す」能力の障害
- まとまりのある文章を話すことが苦手
- 話の筋道を立てることができない
- 話の内容の中に不必要な内容が混じる
- 言葉を言い換えて話すことができない
- 長い文章を話すことができない
会話については、話の内容が断片的でまとまりのある内容を話すことができません。筋道を立てて簡潔に内容を話すことができず、話があっちこっちに逸れたり、関係のない話が混じって途中でつながらなくなってしまい、挙句言いたい言葉が出てこず急に黙ってしまったりします。
また文章にしても話にしても長くなると単語の羅列になることがあります。
「昨日、遊園地、家族で、楽しかった。乗った、ジェットコースターに」
のようにうまく内容を伝えることができません。
「読む」能力の障害
- 文字が正しく読めない
- 文字や単語を飛ばして読んでしまう
- 音読しても意味が理解できない
- 発音を間違う
ゃ、ゅ、ょ、などの拗音が特に読みにくかったり、「コーヒー」のように長音が特に読み間違えたりすることがあります。
また、本を読むときに行を読み飛ばしてしまったり、どこを読んでいるのかわからなくなってまた同じ行を読み始めたりすることがあります。
黙読だとちゃんと読めて内容も理解できたりするのですが、声に出して読むと混乱しがちです。
また「自動車」を「クルマ」と読んでしまったり、関連した別の単語の読みをすることがあります。
この能力に障害のある人は、言葉を音の粒としてとらえて理解する「音韻意識」が弱いとされています。
特に、長い言葉をとらえることが苦手という場合は、読み能力に障害があることを疑った方がいいかもしれません。
「書く」能力の障害
- カタカナやひらがな、漢字を書けない。鏡文字を書いてしまう。
- 単語を書けない。
- 短い文章しか書けない。
言葉の意味がわかっていても、その文字を書くことができません。書けても時間がかかったり、書いた字の形が崩れていたりします。
ひらがなが書けても漢字が書けない場合などもあります。
また文字を書くこと自体が大変なので、作文を書かせても短い文章になってしまうことが多いです。
「計算する」能力の障害
- 簡単な計算でも暗算できない
- 数字の桁がわからない
- 繰り上がり、繰り下がりが理解できない
一桁の簡単な計算でも暗算ができないため、指を使ったり筆算しないと計算ができません。
また「150+70=」もように百の位、十の位などの概念が理解できなくて混乱したりします。
位の概念が理解できないので「15−7=」のような位をまたぐ計算で躓いてしまいます。
「推論する」能力の障害
推論する能力というと抽象的でわかりにくいかもしれません。また、学習障害と言えば読み書き計算の障害というイメージが強いためなかなか学習障害という概念に周囲がたどり着かない場合も多いかもしれません。
推論する能力が低いと想像力を使って結果を予測することが苦手です。例えば理科の授業で「風船に空気より軽いガスを入れるとどうなるか」という実験を行う時に、想像力を使ってどんな結果になるか予測することが困難です。
また、その場にないものを推測するのが苦手だったり、長文を読んで展開を把握することが苦手だったりします。
本を読んで次にどのような展開になるのか、そもそもどうして今の展開になったのか、想像力をうまく使えないために話が理解できません。
また日常会話でも想像力を使って文脈を読むのが苦手です。
まとめ
最近、学習障害に関するドキュメンタリーを観ましたが、学習障害の人が障害によって特定の分野で困難を感じているのにまったく理解されず、学校で苦しんでいたエピソードでした。
保護者は困難は学習障害によるものとして学校に配慮を求めましたが、学校はその人の「努力不足」としか認識しなかったようです。筋道を立てて考えることや基本的な読み書きの能力の欠如があると明らかに日常生活で困ってしまいますね。
本やネットで知識を得ることが難しければ、社会的な知識の蓄積もどんどん周囲に置いて行かれてしまいます。
会話の中に入れなければ、当然周囲から孤立しますし、この障害のサポートはなかなか難しいと感じました。
また他の発達障害と併発することがあるので、まずはその子に何ができて何ができないのかを見極めなければいけません。
周囲の理解が一番必要ですね。
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