”自称”発達障害の言い訳は、不愉快

介護
雪乃
雪乃

いつもありがとうございます。本日の話題は発達障害。ある介護事業の経営者が、病気のある方にその病気をネタにした発言をして笑いあっていると公言されて(また)炎上しました。そこからの言い訳の流れを見ていて思ったことを書いていきます。

責任なんて簡単に取れるものではない

この記事も、深夜にカツ丼からの話の続きです。いい加減、本当にうんざりですが、炎上元からもそれを擁護するひとからも、違和感のある発言が多く、例によって彼らの広告にならないように配慮しながら記事にしておこうと思います。

深夜に誤嚥・窒息のリスクの高い食事を提供して、万が一利用者が命を落とした場合、施設や介護職個人が法的な責任を問われる可能性があると書いてきました。

この法的な責任について経営者は

・何かあったら保険で対応する

・ケアの内容についてはあらかじめ同意を得て、また家族とも関係性を築くことで裁判にならないようにする

などと述べていました。

しかし、保険にせよ、家族との関係性にせよ、どちらも大事だとは思いますが、関係性は容易に構築できるとは思えません。前回の記事に引き続きこの点は強調しておきましょう。

確かに関係性が築けていたなら、それで民事裁判による損害賠償の請求は、なんとかなるかもしれません。過去の判例を見ると厳しそうですが(施設の落ち度の大小がかなり影響しそう)。

そして刑事責任についてです。この件についての明確な答えが、経営者から示されていなさそうに思えます。

死亡事故になれば、警察が介入。その際の捜査で、『安全配慮義務の欠如』などが疑われれば、家族と合意ができていても、関係性が築けていようとも、介護職個人が刑事責任を問われる可能性が否定できないように思えます。

捜査の結果、不起訴なら問題ないのですが、利用者がドーナツを喉につめてしまって亡くなった利用者がいた某施設のように、起訴されて介護職個人が刑事責任を問われてしまうと大事です。

「最悪の場合は施設が責任を負うのだ」と擁護していた人がいます。

しかし、裁判で懲役、禁固、罰金などの刑を言い渡された場合(執行猶予を含む)、その人は、刑を終えるまで、または執行猶予で刑の執行を受けることがなくなってから2年間は、介護福祉士として登録ができません。いわゆる「前科」もついてしまいます。

ここまで来ると、刑を言い渡された職員の人生に対する責任を事業者が取ることなんて、事実上不可能であると言えるでしょう。

最悪の場合の責任というのがどれほど大きいかわかっていないから、簡単に「責任を取る」なんて言えるのです。

これはこの件に関してだけのことではありません。往々にして「何かあった時の責任は取るから」とか「責任を取るのは俺なんだから」とか言ってしまう経営者とかの口から出る「責任」は、責任の重さを本当にわかっていないのか、責任を取る気なんてないのに言っているのか、どちらかのことが多いような気がします。

関係性も病気障害ネタ発言も、認識が軽い

そして、関係性を大事にしているという主張も、実際は驚くほど軽く考えていると思います。

経営者はパーキンソン病のある利用者さんにも「がんめんかたいよー」と言って、言われた利用者さんも怒るではなく皆で笑いあっていると、そういう関係性が築けていると、誇らしげに語っていました。

うん、すみません。

申し訳ないですが、ぞっとします。

その方との関わりがどれほどの時間をかけて構築されたかは、わかりません。ですが、表面での態度だけではわからないことがたくさんあると言うのが、人間の心です。

皆さんも日頃の人間関係を振り返ってみたらわかるのではないでしょうか。というか、普通思っていると思います。不快感を感じても、口や態度に出さなかったりは日常茶飯事でしょう。

先日、ご家族をガンで亡くされた方の記事を読む機会がありました。その方のご尊父様は、ガンで余命を宣告されていましたが、ご家族はみんな残された時間を楽しんでもらおうと、ご本人に優しく接しておられたそうです。

しかし、亡くなったご本人の日記には、家族からの優しさが辛いと、書かれていたそうです。ご家族はご本人の気持ちをそうした形で知ることとなったのです。

なんともやりきれない話だと思います。ご家族だって、できることをされたものだと思います。

しかし、ご本人様は、ご家族に対して思っていることを直接口にすることはできなかったのです。家族という関係性の中でも、そうなのです。

なので、相手のパーキンソン病を笑いのネタにしている介護事業所とは論外だと思います。

「そういう関係性『もありなんじゃないか』と思っています」と予防線を張ったような言い方をしていますが、これも関係性というものを軽く考えているからそういう発言が出るのではないでしょうか。

これには医師のアカウントからも強い疑問の声がTwitterで出ています。

相手の障害とか病気とかに触れるなと言っているのではないです。笑いのネタにするなんて論外であると言っているのです。表面の態度だけでは判断できないと、当たり前のことを述べています。

私自身、以前の職場で、同期入社した人から私の障害について触れられて、かなり不快感を感じたことがあります。相手は励ますつもりで言っていたのですが、明らかに失礼な言動をしたので、その場で苦言を言いました。もっとも、私からの苦言も理解できていないようでしたが。

励ましのつもりで言っていたのだとしても、相手を傷つけることがあるのです。

パーキンソン病ネタの発言については、その後も言い逃れのような発言があったので、次項以降でまたその経営者の話に戻していきます。

”自称の”発達障害を持ちだすな

この相手の病気やネタにするあるまじき行為について、ある発達障害の方が疑問をぶつけられました。

「私は発達障害なんですが、家族からいじられてイラっとする時あるんですよね。自分ではネタにすることだってありますが」

確かに自分でネタにするのはありですね。しかし、家族からの発言でも、いじられて不快感を覚えることだって当然あるでしょう。そこをどう受け止めるか、その不快感をどう伝えたりするかも関係性で変わってくるかとも思いますが。

しかしその指摘の声に対して、経営者は

「僕も知り合いの医師とかから「お前はADHDだ!」と言われていますが、笑いのネタにしています。確かにへこむ時もあり関係性って難しいでしょうけど、笑いになる関係性『も』ありなんじゃないかと」

と答えています。まだ言うか。でも、医師やその他の人から言われているって言っても、それは正確な診断ではないでしょう。あくまでも自称です。

本当に障害があるのかどうかもよくわかりません。仮に本当にあったのだとしても、診断や治療を受けていないのなら、それはその人にとって大きなことではないという意味ではないでしょうか。

発達障害があると自称している人が自らネタにすることなんて、他の障害がある人の原因をネタにすることの重さと、同列には比べられません。

その後、発達障害の方と、経営者の方のやり取りが少し続きました。

結局、経営者は「確かに障害を笑いのネタにするって難しいけど、俺だってADHDだって周囲の人に言われててもそれをネタにしてるし。人の障害をネタにして笑いあうのもありなんじゃないかと思って」ということを言いたいのだと感じました。

しかし、この件は私にとって少し不愉快です。

・自分でネタにするのと人の障害をネタにするのは違うでしょ

・都合が悪くなったら診断されてない発達障害を持ちだして、「自分もそうだから」と人の障害をネタにする行為を正当化するのは、違うでしょ。

特に2つ目ですね。発達障害は見えにくいこともあるので、発達障害でないと否定することも簡単にはできない。なのですが、大して困っていない(困ってなさそうに見える)人が、曖昧な根拠で自分も発達障害だと言って、自分の行為を正当化するのが、少し不愉快。

しかも発達障害の人とのやり取りの中で「デンマークでは、ADHDは誰にでもあることと受け止める傾向があるので、僕もそう受け止めています」とも言っています。ここデンマークやない、日本や。

というか、誰にでもあることと受け止めるんだったら、なおさらADHDを持ち出すのはおかしいでしょう。あと、「誰にでもあること」って言われるのって、発達障害当事者の多くが(少なくとも私は)言われて嫌な言葉ですよ。

私はTwitterとかで自分の発達障害について書くことは、最近しません。ですが、生まれつきのこの障害で、診断されるまで、診断されて治療を受けながら今に至るまでにも苦労はありました。

ストラテラという薬だって飲んでいます。副作用で肝臓の数値が悪くなることだってあるし、多く飲んでしまうと吐き気という副作用があります。

朝飲んで通勤電車に乗り、途中で吐き気が堪えられず、電車を降りてトイレで吐くことだってありました。不眠という副作用にも悩みますが、飲まないと仕事の集中力も続かないので飲んでいます。

不注意や忘れ物の症状だって、薬で完全に抑えられるものではありません。

物をよく無くすので、ボールペンを買う時はスペアのボールペンとスペアを無くした時のスペアの分まで買っています。慎重にやっています。

それでも私は、発達障害であることを公言せず、仕事が出来ている(いわゆるクローズ就労)のだからまだ幸運な方です。もっと困っている方だっています。

そういう当事者がいる中で、診断を受けていない人が発達障害を自称してものを言うなんて、個人的には勘弁して欲しいものです。

他の方ですが、介護系の資格を取らない介護系インフルエンサーの方がいますが、介護について出版もしているのに資格をとらない理由は「発達障害っぽいので研修を座って受けられないから」だそうです。っぽいってなんでしょうか。

偏見でものを言いますが、そういう時に発達障害の自称を始める方は、たいがい地雷です。きっとその人の上司が発達障害っぽいからと与える仕事に差をつけようとしたら、文句を言ったり否定をしたりすると思います。

困っているならちゃんと医師に相談したりしますから。

そういう自称が、発達障害の偏見を生んだりするのです。困っているけど、苦労してなんとかしている方は、言わなかったり(言えない)するのですから、そういう自称の方ばっかりが悪目立ちする。迷惑であると、言わざるを得ないですね。

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