地道に成果を上げる取り組みと炎上で注目される取り組み

介護
雪乃
雪乃

いつもありがとうございます。介護現場における取り組みを大きく2つにわけて考えてみます。

炎上して注目を浴びる取り組み

Twitterでは介護事業者が様々な取り組みを発信しています。特に炎上した案件はこのブログでたっぷりと取り上げてきましたし、これからもそうするつもりです。

炎上した案件は例えば

案件①

介護施設入所中の方が骨折して入院した。入院先で誤嚥性肺炎を発症し食事制限。

介護経営者はその状態の患者と病院から抜け出し、寿司や日本酒を飲食させた。

連れ帰った時に病院から怒られたが、経営者は好きなものを食べさせたし誤嚥もしなかったと自画自賛。Twitterに投稿して炎上。

などです。他

案件②

小規模多機能型施設で泊まり中の利用者が深夜にカツ丼を食べたいと要求。職員は冷蔵庫からカツ丼を出して提供。その利用者は半年間入院してペースト食で対応されていた。

施設経営者がTwitterで「しばらく前まで半年間ペースト食だったのにカツ丼が食べられた!」と紹介。嚥下機能評価を適切に行なっていたのかと批判が殺到して炎上。

という経過を辿った案件があります。

どちらも炎上させた人たちが「好きなものを食べられないと訴えている人に好きなものを食べさせてあげれた」と誇っているという共通項があります。

確かに食事からの満足感は大事ですから、利用者の希望を叶えたという意味で、全否定はできません。ではどうして炎上してしまったのでしょうか。

炎上案件の共通項

この炎上案件は炎上するべく炎上しています。いくつかの要素があります。

炎上要素①:必要な過程を抜かしている

案件②は、リスクの高い食事をする時は対応するスタッフを確保していくという過程をとばしているように見えます。食事形態の変更は段階を経て行なっていたということですが、深夜という条件はトライするのによくありません。条件調整を怠っています。

案件①は、入院中に勝手に飲食させた時点で論外です。

炎上要素②:取り組みの筋が通らない

案件①は入院中で服薬していたはずです。なのに飲酒をさせたら服薬の調整もままならなくなります。健康であればその後も食事を美味しく食べられるのに、健康を損なう行為をしたら本末転倒。

案件②はカツ丼の喫食に至るまでに嚥下機能評価をきちんと行ったと釈明しておくいましたが、後に「好きなものを食べてたらむせない」と俗説を述べ、再度炎上するに至りました。自らが行ったという嚥下機能評価を蔑ろにする発言を後になってするのですから態度が一貫しません。

炎上要素③:言葉が足りない

案件①②ともに、批判されて後から、外出自体は病院に申請していた、嚥下機能評価はきちんとしていた等を述べています。なら最初からそうすればいい。

特に③の言葉足らず問題ですが、Twitterは文字制限があるから云々を理由に擁護する方がいますが、Twitterには分割投稿機能があるのですからそんな言い訳は通りません。

きちんと言葉を重ねて取り組みを発信している人が介護に限らずにいるのに、そんな言い訳をすること事態が失礼なのではないでしょうか。

地道な取り組みで成果を上げる人たち

注目は浴びなくても、その人の手が届く範囲内で成果を上げている人たちがいらっしゃいます。

炎上案件は「好きなものを食べさせてあげたい」という動機からの取り組みかもしれませんが、言われるまでもなく、美味しく食事をしてもらおうと取り組んでいる人たちは現場にいるのです。炎上して注目を浴びたことであたかも新しい考え方からやらかしてしまった人がいると勘違いしそうです。しかし彼らのやったことは特段新しい考え方に基づいてのものではありません。

現場で活躍している人たちは例えば以下のような取り組みをしています。

①入院患者に美味しい食事を食べてもらおうと食事会を企画。上層部は渋ったが、アンケートで開催の要望が多いことを伝え、許可を得る。

②衛生上の問題がないようにメニューを検討。食材はもちろん、食器もメニューに合うように環境を整える。事前に参加者を募って定員を決める。

③食事会には緊急時対応ができるスタッフ、吸引機、当番医を確保。服装も自由として場を整える。

④実際の食事会では刻み食の方にも常食を食べてもらうことができた。

⑤上記①〜④の過程を丁寧にTwitterで公開した。

このように紹介された取り組みはまったく炎上もしませんし、拡散されて否定的意見はほとんど返って来ていないようです。

やるならやるで、筋を通す。丁寧に伝える。これらをしっかりしているからこそ反響が大きいのではないでしょうか。

また、この例はTwitterで注目を集めることにはなりましたが、良い取り組みだが必ずしも目につかないことだってあるでしょう。

例えば、急性期の疾患で、リハビリ栄養管理の知識に長けた専門職が早期のリハビリ栄養介入を行ったとしたらどうでしょうか。

急性期は栄養摂取が極めて難しく、低栄養に陥ってしまうと全身の筋肉が早いペースで分解されてしまいます。そうすると嚥下に関する筋肉も落ちてしまうため、その後の嚥下障害や誤嚥性肺炎のリスクが高くなってしまいます。

急性期における多職種連携に基づいて行われる栄養介入は、患者のその後のQOLに大きく関わってくることになります。

しかし、嚥下機能の維持、誤嚥性肺炎の予防というのは、目に見える結果とはなかなかみなされません。しかし個人的にはこれらの取り組みの意義は極めて大きいと思います。

人はインパクトのある情報に引き寄せられやすいものですが、当然それが全てではありません。

特に医療介護に詳しくない人たちに伝えるのは、難しいでしょう。だから専門職こそがそうした情報や現実に積極的に目を向ける必要があるのではないでしょうか?

専門知識のある介護職は威勢のいい自称「攻めてる介護職」なんかにかまってる暇はないと思いますよ。

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