食べられない人にどう接するか

介護

高齢者の全てではありませんが、様々な疾患があると口から食べ物をたべることが著しく困難になるケースもあります。

認知症になると、食べ物を食べ物と認識できず、まったく食事が進まないというケースもありますし、ガンなどの疾患にかかると食欲不振でほとんど食べられなくなる方もいらっしゃいます。

そして脳梗塞などの疾患があると飲み込みがうまくできず、やむなく口から食べるのを中止しなければいけないケースもあります。以前指摘したサルコペニアで嚥下障害が進んでしまうという場合もあります。

嚥下障害の酷い方は、唾液でもむせてしまったり、唾液が気道に入ってしまって誤嚥性肺炎を引き起こすケースもあります。

いったん誤嚥性肺炎を発症してしまうと、やむなく絶食対応しなければならないということになります。そこで栄養管理が上手くできないと嚥下に関する筋力がさらに低下し、今後の誤嚥性肺炎のリスクが高まる悪循環になってしまうことも十分あり得ます。

医療機関や介護施設、在宅に関わる介護職や訪問看護師はそうしたリスクを念頭に入れて、しっかりアセスメントして個別対応をとらなければなりませんね。

脳血管疾患の急性期でやむなく口からの摂取を中断する場合などは、なるべく早くに経口摂取を再開することが奨励されています。絶食の状態を長く続けると、嚥下機能の低下につながるリスクがどんどん上がってしまいます。

また急性期による嚥下障害は、早期にリハビリを開始することで回復が見込めます。

ただ、ご家族がご本人の嚥下状態にどこまで理解を示せるのか、これも医療職や介護職と認識の違いがあり、トラブルになってしまう例をツイッターで発見しました。

家族が嚥下障害のある患者に物を食べさせてしまって、誤嚥性肺炎を起こした事例

老健施設で勤務されている介護職の方のツイートです。

どうやら静脈注射での栄養補給を行っている利用者さんのご家族が、利用者さんに口から飲ませてあげたいと、飲み物を飲ませてしまったようです。

静脈注射を普段から行っているという状況から、この利用者さんは経口摂取のリスクが高い方だったと推察します。飲み物を与えてしまったことで、結果的に利用者さんが誤嚥性肺炎を発症してしまった可能性が高い事例であると思われます。

Twitterでの体験談ですので、状況を推測して述べるしかないわけですが、飲み込むリスクが高いからこそ静脈注射を行っていたと理解するのが妥当でしょう。

リスクの高い方に飲み物を与えるわけですから、当然誤嚥性肺炎や窒息事故などが起きる必然性が高いですよね。

ご家族も悪気があってそのようなことをされたわけではないでしょうが

・利用者さんが口から物を摂取するリスクが高いことを理解できていなかった

・安易な経口摂取が事故や病気につながる可能性を理解できていなかった

・口から飲み物を飲ませてあげるのが本人にとって良いことだと思っていた

等々の介護職とご家族の認識の差からこの事態に発展してしまったものと思っています。

せめて相談してからやってほしかった、という感想が現場から上がるのはやむを得ないことですよね。

ドクターの指示を守れない、リスクがあると説明を受けても勝手にやってしまうという状況では、施設としても責任を負いきれない・・

厳しいようですが、施設からは退去していただかなければならないかもと検討されも仕方がない案件なのかなというのが個人的な思いです。

繰り返しますが、ご家族の想いもわからないではありません。

御本人の状態が急激に悪化すると、なかなか家族がその状態を受け入れることができないという状況を、ケアマネとして何度も目にしています。

なるべくお話合いして、状況を理解していただけるようにご説明しますが、受け入れられないものは受け入れられないのでしょう。

私が体験したある方は急な感染症で全身に菌の毒が回り、立つこともままならなくなり口からものを摂取することも難しくなりました。ご家族は入院中の患者さんにゼリーなどなら食べられるのではないかと食べさせましたが、結局は誤嚥性肺炎の原因となってしまい、状況がより悪くなってしまいました。

ご家族はご本人の状態が、もう口からの摂取が難しい状況であることをなかなか理解できなかったようです。

食事が人にとって楽しみであることは私も重々承知しています。

ご家族の気持ちだってできるだけ汲みたいと思い、日ごろの支援を行っています。

しかし、望ましいケアを専門職の視点から考えると経口摂取がどうしても難しい事例に直面します。ご家族が受け入れることも難しいのは承知しています。

しかし・・誰のための栄養管理・食事管理なのかを考えると、家族が口から食べてほしいからという希望をそのまま優先することはできません。

口から食べれるかどうかはやはり専門職のアセスメントが必要です。御本人の希望、ご家族の希望、専門職の評価、全て総合してケアの方法を対応しますが、やはりご家族が独断で口から飲食物を与えてしまうのはいい対応とは言えませんね。

介護職も医療職も、利用者さんのQOLをできるだけ高めるためにいろいろ考えます。介護サービスを利用されている方のご家族は、どのようなケアが望ましいか一緒に考えるために相談員やケアマネといった存在がおりますので、お悩みのことはぜひ存分に相談して頂ければと思います。

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