福祉・介護ランキング
発達障害に対する認識が広まりつつある昨今、学校教育や幼児の定期検診によって発達障害に対する対応が早期に開始されるようになっています。
私は30歳になってようやく発達障害と診断されて服薬を中心とした治療を始めましたが、もう少し遅く産まれていたら小学校などの時期に診断も降りたでしょうし、服薬や環境調整などの対応が早期に開始されていたでしょう。
今まででしたら発達障害による生活への支障があっても見過ごされていたところが、今では早期に対応できるようになったのは非常に良いことだと思います。
発達障害への対応が遅れると、人間関係の失敗や集団生活への不適応で、適応障害や鬱などの二次障害が発生してしまいます。そうなると厄介なのでなるべく早期に対応できるならそうした方がいいです。
今のところアスペルガーや学習障害には服薬で症状を改善する方法はありません。
保健師さんや発達障害の専門医、発達障害支援センターなどのアドバイスを受けながら、その子の得意な部分を伸ばしたり苦手な部分を補うトレーニングを行っていくことができます。
ADHDの子供に対しても、不注意によるミスをどのように防ぐか親子で考えたり、できることはいろいろあるはずです。
人間関係の不得意や、社会的スキルの未熟さは専門家のアドバイスを参考にしながら教育していくことで問題をかなり減らすことができます。
文部科学省が2012年に行った調査では、通常の公立小学校・中学校に在籍する児童生徒の6.5％が発達障害があると推定されています。
発達障害は一目見てわかる障害ではありません。昔から発達障害の子供はいたのに、見過ごされてきました。具体的に発達障害の人がどう困っているのか、発達障害と一口で言ってもいろいろな種類がありますし、社会的に十分に認知されているとはいいがたいでしょう。
少しづつでも発達障害に対する理解が広まってくれればと思います。
大人になってから発達障害の診断を受けた場合でも、障害福祉サービスの一環として就労移行支援事業などでその人にあった職場を探すこともできます。
大人の発達障害を診察してくれる医師もまだ多くはないですが、医療を受けることで生活への支障を多少なりとも減らすことができるでしょう。
飲食店経営の強い味方！ 月額1,000円（税抜）で始めるホームページ
発達障害への理解を妨げる人
残念ながら発達障害はまだ十分に理解されているとはいいがたい状況です。
具体的にどう困っているのかわからない、という人もいるでしょう。
中には「ミスが多かったり失礼な発言をするのを、発達障害を言い訳に使っているのではないか？」と思っている人だっているかもしれません。
実際には本当に発達障害を言い訳にする人も残念ながらいますので、そのような意見が一定数存在するのは仕方がないとも言えるでしょう。
時間がかかってもそのような認識の差を埋めていく努力は当事者も周囲の人もしていく必要があると思っています。
しかし、もっと厄介な問題は
医師が子供を発達障害だと決めつけて、子供を薬漬けにしてしまっている
などという意見を広めている人がいることです。
この意見の発信主はFacebookをやっている実名医師だったりします。
そういえば最近Twitterで匿名医師を不当に攻撃している実名医師がいましたね。実名か匿名かだなんて、ネットの世界では判断材料の一つでしかないですよ。
実際の臨床の現場で、安定剤などの薬が安易に処方されている現実もあることは否定はしません。向精神役が不適切に多剤併用で処方されてしまうこともあります。これは発達障害に関する医療に限らず、精神科医療全般に言えることです。
反面、忘れてはいけないのは適切な薬物療法によって発達障害の子供が自信を取り戻し、学校社会に適応出来たり、家庭での生活習慣が改善したり反面、忘れてはいけないのは適切な薬物療法によって発達障害の子供が自信を取り戻し、学校社会に適応出来たり、家庭での生活習慣が改善したり、薬の恩恵を受けている子供もたくさんいるということです。
服薬治療を受けている子供だってたくさんいます。
「発達障害は薬漬け」と主張する人の具体的な言い分
私がFacebookで高齢者への処方について言及していたら「精神化では子供が発達障害と決めつけられ、薬漬けにされている」とコメントした人がいました。
一通りその人物に対してはコメント欄で反論しておきましたが主なやり取りは以下のようなものでした。
・「落ち着きがない、言葉の発達が遅いという理由だけで発達障害と病名が付けられて、子供が薬漬けにされている」
反論→「単に落ち着きがないとか、言葉の発達が遅いというだけで診断がつくというのは現実と乖離している。WAISなどの複雑心理検査や成育歴の聞き取り等の過程を経て診断が下されるので、障害だという決めつけが行われているわけではない」
「発達障害だと診断されていても、薬を飲んでいない子供もいますよ」
・「ではなぜ子供向け向精神薬の売り上げは増えているのか」
反論→「発達障害が認知されるにしたがって、早期診断がつき服薬が必要な子供に対しての処方が増えただけでは」
実際に調べた結果としてはADHDの子供に対してのADHD治療薬の処方は近年増えていました。
これは医療を必要とする子供に医療が提供されていることであって、向精神薬と大雑把にくくって売り上げが伸びたことを批判するのはおかしいのではないでしょうか。
医療が必要な子供に薬を与えず放置するのが正しい在り方なのでしょうか。それでは医療ネグレクトですよね。
発達障害に麻薬が使われているという意見を調べてみた
私に意見してきた方のウォールから、シェアされている発達障害医療批判の投稿のシェアを発見したので、具体的に調べてみました。
シェア元の人物は以前から「発達障害は薬漬け」「発達障害に麻薬が使われている」という主張を繰り返しているようです。
その人物の発現をFacebookやYouTubeで検索して、明らかに事実に基づかない主張をいくつも見つけたのでここで反論しておきます。
①「発達障害に薬が使われているが、薬で治ると思っているのか」
→著しい事実誤認です。まず発達障害に薬が使われていると大雑把に言っていますがアスペルガーや学習障害には有効な薬はありません。
ADHDに対しては症状を抑える薬があるのでコンサータ、ストラテラ、インチュニブという薬が使われます。しかしこれが障害を治す薬ではないことは既に明らかになっています。治すためではなく、一時的にでも不注意を減らしたり衝動性を抑制することで周囲に適応することは有益であるからこそ薬物治療が選択されることもあるのです。批判するのであれば、治療について最低限の知識を得たうえで批判をするべきでしょう。
②「発達障害と診断されると99％麻薬が使用される」
→ADHDの治療薬として先に挙げたコンサータという薬の有効成分はメチルフェニデートという中枢神経刺激薬です。これをそのまま投与すると脳に作用し、ドーパミンが増えます。この作用が依存性を生じることからかつては乱用が問題になりました。依存性のある薬物として規制の対象になっていることは事実です。
しかし、メチルフェニデートがそのまま投与されることは現在ではありません。コンサータはメチルフェニデートがカプセルからゆっくりと放出され、一度に大量のドーパミンが放出されることもないように工夫された薬です。効果も持続しますし、依存性もありません。
更に指摘するとコンサータのみが治療に使われているわけではありません。ストラテラは脳内でノルアドレナリンというホルモンの濃度を高める作用のある薬で、麻薬のような作用など一切ありませんし、2週間は飲み続けないと効果も表れない薬です。濫用されることなどまずありません。治療にコンサータのみが使われているわけではないので治療の99％が麻薬という主張は明らかに間違っています。
③「発達障害には診断基準がなく、医師が勝手に子供を障害だと決めつけている」
→発達障害には診断基準があります。具体的にはDSM-5とかです。
安易に診断を下す医師もいないとは言いませんが、検査や生育歴の聞き取りが診断には必要であり、学校や保健師から発達障害ではと言われることもありますが、最終的には検査結果と医師の診察で診断を受けることになります。
診断結果が医師によって左右されることもありますが、困りごとを抱えているのにグレーゾーンと診断されて困っている人もいます。
| 発達障害グレーゾーン [ 姫野 桂 ]価格:902円 (2020/2/16 18:24時点) 感想(2件) |
このように発達障害は薬漬け批判は発達障害の種類も使用されている薬剤の種類もろくに把握できていないナンセンスな主張でしかありませんでした。
発達障害の人が他の精神疾患を併発したり二次障害を抱えている場合には上記した以外の向精神薬が使われることもありますが、本稿ではこれ以上の言及を避け、別の機会に投稿したいと思います。
発達障害における医療に対する偏見は、当事者や支援者、医療関係者に対する不当な攻撃だと認識しています。
私もADHDのためにストラテラを服用しているのですが、こんな私も麻薬中毒者だと攻撃されてしまうのでしょうか？まあ、実際にそんな言いがかりをつけてきた人もいましたがね。参考： https://yashirok.xsrv.jp/archives/311
医療への攻撃を煽っている人は、単純に知識が不足しているのではなく過激な主張をすることで意図的に注目を浴びようとしているのではないかと思っています。問題は簡単に乗せられてしまう人です。情報はきちんと選別して欲しいものですね。
迷惑です。
コメント