傾聴とは?
傾聴という言葉を聞いたことはありますか?
傾聴とはカウンセリングなどで使われるコミュニケーション技法のひとつです。
「傾ける」という言葉の通り、ポイントは相手の気持ちに耳を傾けること。
相手の話を否定せずに聞く『受容』
また相手に対して『共感する』姿勢を示すこと
で、相手が自分の気持ちを表出させて問題の解決を助けます。
他にもコーチングなどの指導のテクニックとしても用いられます。
傾聴のポイントは?
傾聴はカウンセリングやコーチング以外にも、誰かの悩みを聞く際に有効なテクニックです。
福祉の相談職などに就いている人にも求められるスキルです。上司が部下の相談を聞く際、また知識を活用すれば営業の際にも使えます。
ただ聞くだけのように思えるかもしれませんが、相手の話に共感しながら否定せずに聞いているだけで話し手は自分の中で考えをまとめることができます。
意外とこれだけで半分以上の悩みは話し手自身の力で解決するものなのです。
カウンセラーはカウンセリングの際に積極的にアドバイスをして相手の悩みを解決するわけではありません。
むしろ相手から気持ちを聞き出すことで、自分自身で問題を解決することを助けているのです。
重要なポイントは共感です。相手に対して共感する姿勢を示すことはとても強力なパワーがあります。
誰かに意見を押し付けられれても人は簡単に変わることはありません。
話をすることで得られるモチベーションはどれだけ多くの聞き手が共感を示したかによると言います。
相手に共感を示してもらえるだけで力が湧いてくるのが人間というものなのです。
相手の話を聞いても自分の意見を押し付けるだけのアドバイスをしてしまっては、効果がないどころか「ちゃんと気持ちを聞いてもらえなかった」という不満の気持ちを持たせることになってしまいます。
リフレクティブ・リスニングのテクニックとは?
相談職の人には傾聴という言葉を知っていても、具体的なテクニックまでは知らない人もいます。
また管理職は部下の相談を聞くのが仕事とわかっていても、上下関係からついつい自分の意見を押し付けることになりがちですね。
リフレクティブ・リスニングのテクニックは一般の人にもすぐに応用できるテクニックです。
「リフレクティブ」とは「反射する」という意味。
鏡が相手の姿を反射して映し出すように、相手の語りを映し出す方法です。
リフレクティブ・リスニングは大きく3つの技法から成りますので、1つずつ紹介していきます。
技法1・エコーイング
エコーイングの手法は、話し手の語りに「うんうん」「なるほど」などと相槌をうったり、うなづいたり体の動きを使って反応するものです。
そんなふうにして話を聞かれるだけで話し手は気分がよくなり、話が掘り下げられていきます。
これは大して意味のあることを言っているわけではありませんが、前述の通り話し手に「共感してもらっている」という印象を与えることになり、自然と相談の質が高くなっていきます。
技法2・リフレージング
リフレージングは相手が発した言葉をそのまま繰り返すことです。
特に相手が言った言葉で情緒を含んだ言葉や、相談の中で重要な語句をその人本人の言葉で繰り返します。
これも話し手に共感されている感覚を与えるという効果、また話のポイントを整理する効果があります。
ただし、話の中で重要ではない言葉を繰り返しても効果はありませんので注意する必要があります。
技法3・要約
これは話し手が喋ったことを言い換えたり要約することです。
「つまりあなたがおっしゃったのは~ということですか」とか、「つまりあなたがおっしゃっているのは~ということですよね」と言い換えや要約をすることです。
これで話し手に自分が話したい内容をこちらが把握していることを示すことができます。
悩みの相談を聞くことは前述のように相手の話を受け入れて聞いていくだけで自然と解決に向かっていくものです。
ですが、相手の話に相槌を打ったり、相手の言葉を繰り返しているだけでは時々相手が言葉に詰まったり、相手の中でまだ言語化できていない感情が発せなかったりします。
そういう時に適度に要約のテクニックを使うと、相談の質が高まったり話し手が自分の気持ちを整理することができます。
まとめ
ここまで説明したリフレクティブ・リスニングはシンプルなテクニックで、シンプルであるが故に日常の中のあらゆる場面で使っていくことができます。
基本的に悩みを聞いてほしいという人は何かしらの答えを相手に求めているわけでは必ずしもなく、誰かに話を聞いてほしいという思いで相談を持ち掛けることが多いです。
つまり相手に求めているのは答えではなく『共感』なのです。
私も人の相談を聞く仕事をしているのですが、相手が私の持っている専門的な知識からの答えを求めているわけではなく、自分の気持ちを聞いてほしいと思っていると感じた場合はまず相手の話を否定せずに聴くことに徹します。
相手の中に最初から答えがある場合も少なくありません。話を聞いているうちに自分の中で気持ちを整理し問題を自己解決する人も少なくないです。
リフレクティブ・リスニングなどのカウンセリングの知識を持って人の悩みを聞いていると、相手の気持ちをより深く理解できるようになりますし、結果として人間関係も良好になります。また人の気持ちについて考えることで自分自身の成長にもつながります。
くれぐれも自分の価値観を押し付けるのはNGです。人間関係がこじれる原因にもなります。
また相手の感情を自分の価値観で判断して相手に伝えることを『ジャッジメント』と言います。ジャッジをしてしまうと話し手は「否定された」と」感じてしまい問題の解決に役立ちません。
例えば「もう会社を辞めたい」と相談してきた人に「そんなに簡単に辞めたらダメだよ」というのが典型的なダメな例です。
価値観を押し付けるのではなく、まだ相手が言葉にできていない感情を一緒に考えるのが良質な相談です。
誰かからの相談を受けた時、目の前にいるのは「悩みを抱えた人」ではなく「悩みを解決する手段をまだ見つけられていない人」だと思うようにしましょう。
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