介護 『メニュー表』 「管理栄養士さんが作ったレシピを拝見しました。これなら滝沢さんも無理なく食べられると思います」 言語聴覚士の安藤の評価に、水貴は安堵する。水貴は訪問看護ステーションに電話をして、滝沢のケースの相談をしていた。 ALSは水貴にと... 2021.05.12 介護小説
介護 『ブリの切り身』 「では、普段食べているものから聞かせてもらっていいでしょうか?」 「魚が好きなので、魚を焼いたりしてもらってます。あんまり手の込んだものを主人に作ってもらうのも悪いし」滝沢さんはマスクをつけたまま言う。 隣で夫が頭をかきながら... 2021.04.25 介護小説
介護 『食事』 「食べたいものを食べさせない、栄養の事ばっかり言うのが介護や医療の仕事か!って思います。私は食べたいものをどうやって食べて頂けるか考えるのが、生活に寄り添う介護の仕事だって思います」 はあ…。 『天下一介護コミュニティ』なる得... 2021.04.24 介護小説
介護 『言語聴覚士と管理栄養士』 「少し声を出してみてください」 言語聴覚士(ST)の安藤さんに声をかけられて、滝沢さんは「あー」と小さな声を出す。 私は滝沢さんのリハビリに立ち会っていた。理学療法士(PT)がリハビリに入る時もある。今日は言語聴覚士による発音... 2021.04.20 介護小説
介護 『胃ろう』 「バイパップ(人工呼吸器)の設定はこれでいいでしょう」 遠山医師は機械の設定値を確認し、滝沢さんに話しかける。 私は保健師の岡林さんと往診に同席していた。 遠山先生はクリニックの診察が忙しく、往診を引き受けることは滅多に... 2021.04.17 介護小説
介護 『例外貸与』 「あの、すみません…。マスクを着けてもいいでしょうか?」 息切れを抑えながら滝沢さんが言う。 調査員は私の方に顔を向けたので、私はうなずいた。 「無理なさらず、どうぞマスクを使ってください。ここからは普段の様子をお聞きす... 2021.04.15 介護小説
介護 『ALS』 ALS −筋萎縮性側索硬化症 この病気は運動を司る神経が弱っていく難病だ。患者は徐々に筋肉が衰え、立ったり歩いたり、日常生活が困難になっていく。 食べること、飲み込むことだって難しくなる。呼吸する筋肉さえも弱っていくので、人工... 2021.04.14 介護小説
介護 『殴られる介護職』 認定調査員は介護の手間を公平に判断し、できる限りわかりやすく情報を保険者に伝えるのが仕事だ。 判断に迷うことはあるが、迷ったら迷ったと保険者に伝える。どういう状況が発生していて、なぜ迷ったか。それを正確に伝えさえすれば、どういう判断... 2021.03.27 介護小説
介護 『職員への暴力』 「では、詳しくお聞かせ願いましょうか」 「ええ…」 私と九条さん、2人だけになった相談室で私達は話始める。娘さんへの聞き取りは終わったがまだ帰るわけにはいかない。腑に落ちない点が多すぎる。 「念のため最初の項目から確認し... 2021.03.25 介護小説
介護 『不穏な調査』 「本日は介護保険の更新ということで調査をさせていただきますね。お忙しいところ申し訳ありませんが…」 「そんなもんいらん」 私が話終わる前に五十嵐さんが唐突に口を挟んだ。 「はい?」 「介護なんて俺にはいらん。別に困... 2021.03.24 介護小説